仙台育英の誤算“たった1つの想定外”「80球以降に制球が乱れる」沖縄尚学エース・末吉良丞の衝撃…須江航監督に密着記者は“甲子園名試合”をこう見た

　名監督は、名デザイナーでもある。

　仙台育英を指揮する須江航が「精緻な設計図」を広げて見せてくれたのは、今大会ナンバー1左腕・末吉良丞を擁する沖縄尚学戦の前日のことだった。

沖縄尚学戦前日…須江監督が語ったプラン

「ロースコアに抑えない限り勝機はない。当日の末吉君のスライダーが、左打者に対して隅に決まっているのか、右バッターに対して膝元にきちんと来ているのか。それが生命線だと思うので、それが抜けたり、引っかけたりしたらチャンスがありますけど、それがなかったらタイブレークに持ち込むぐらいしかないと思っています」

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　須江はこちらが1つ聞けば、5にも6にも7にもして返してくれるのが常だった。したがって、須江の囲み取材は情報の宝庫だ。記者からしてみれば、こんなにありがたい取材対象者はそうはいない。

　須江の口調は淀むことがなかった。

「相手とうちのパワーバランスが5対5なのか6対4なのか、そのあたりは蓋を開けてみないとわからないですね。7対3とか8対2みたいなパワーバランスではないと思うんですけど。どちらが先制するか、あるいは互いの先発が誰かによって、そこ（の比率）は少し動くでしょうね。力が拮抗していたら、そこを打ち破るのは打力ではなく、守備力だと思っています。末吉君が先発で来たときには80球以降に制球が少しずつ乱れてくるので、5回で80球を越えるようなピッチングにできたら後半勝負に持ち込めるかなと思います。そもそも打ち崩すなんてことは考えていないので、想定は1−0か2−1ぐらいで勝つか、タイブレークです」

仙台育英を率いる須江航監督（42歳） ©JIJI PRESS

「タイブレークは違う競技。持ち込みたい」

　力量差はどれくらいまでの差なら勝利を見込めるものなのかと尋ねると、こう答えた。

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