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「いまが、めちゃくちゃ楽しいです」オリックス→中日、プロ野球で9年戦った三菱重工East・武田健吾が語る都市対抗野球の魅力 

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日比野恭三

日比野恭三Kyozo Hibino

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photograph byYuki Suenaga

posted2025/08/28 10:00

「いまが、めちゃくちゃ楽しいです」オリックス→中日、プロ野球で9年戦った三菱重工East・武田健吾が語る都市対抗野球の魅力<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

三菱重工Eastで4年目を迎えた武田。選手としてまだ成長過程にある

 プロ時代、自身の不甲斐なさに流した涙とは明らかに質が違った。ただチームの勝利だけを求める、極めてシンプルな営みだからこそ、負けた悔しさも勝つ喜びも最大限に味わえる。独特な応援合戦が繰り広げられる東京ドームでの都市対抗本戦も3年連続で経験。真っ赤なスリーダイヤを胸に抱いた武田は、「あのとき野球をやめなくて本当によかった」としみじみ言う。

 ただ、プロ時代の余力だけで第二の人生を謳歌しているわけではない。この数年の間に、社会人野球の選手として明確にグレードアップしている。

 新天地での再出発以降、武田が特に力を入れてきたのがウエイトトレーニングだ。ドラゴンズ最終年より体重は5kgほども増えたといい、「逆方向への打球が飛ぶようになった」と、確かな手応えを口にする。

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 実際、昨年の都市対抗では、準決勝・東京ガス戦で右打者ながら右翼席中段にホームラン。新たに手にした長打力で初優勝に貢献した。

「プロのときは守備固めで試合に出ることが多かった。ゲームの大事な場面で、自分のひとつのプレーが勝敗を左右しかねない。だからこそ、体に張りや不安が残った状態ではいたくなかったんです。ウエイトで無理するわけにもいきませんでした」

 与えられた役割の中で最高のパフォーマンスを出せるようにというプロ意識から、自らブレーキをかけていたところもあったのだ。そこから一転、リミッターを外し、アクセルをぐいと踏み込んだ武田。充実感みなぎる表情で、こう言い切った。

「社会人では大きな大会に合わせて体をつくっていくことができる。そういう調整の仕方も自分に合っていたのかな。フィジカルの強さはいま、ピークに来ています」

主力として見いだしたやり甲斐

 社会人チームに加入する「元プロ」の選手は、その経験を若手らに伝える指導者的役割を期待されるケースが少なくないが、武田は違う。「チームの中心になってくれ」と誘われ、事実、バリバリの主力として奮戦してきた。

 期待されているぶん活躍への意欲も強いが、かつてのような悲壮感はない。こんなことを、さらりと言ってのける。

「昔はたとえチームが勝っても、自分が打てなかったら『何であんな球を振っちゃったんだ』とか考えてましたね。でもいまは、もし僕が打てなくても、チームが勝ったらオッケーです」

 前回覇者として臨む、今年の都市対抗。意気込みを問う質問にも、力まず答えた。

「もちろん目指すは2連覇。去年見た景色をもう一回、見にいきます。うちには良い選手がいっぱいいるので、とにかくつないで。全員野球で優勝したいと思います」

 三菱重工Eastは8月28日、開幕戦でNTT西日本とぶつかる。社会人最高峰の舞台に向けて、準備は万端だ。

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