「苦い思い出の球場なので…」甲子園“優勝候補の一角”エースに起きていた悲劇…背番号10で“5カ月ぶり登板”の秘話「みんなが連れてきてくれた」 

優勝候補で臨んだ春…エースに起きた“悲劇”

　5カ月前のセンバツ。阪下は東洋大姫路の絶対的なエースだった。最速147キロを誇るストレートに加え、複数の変化球を駆使するパフォーマンスは全国でも指折りと称され、この右腕を擁するチームは大会で優勝候補に挙げられていたほどだった。

　阪下を異変が襲ったのは、壱岐との初戦だった。誰もが圧倒的ピッチングを疑わなかったこの試合、1回にいきなり2失点を喫した東洋大姫路のエースはこの回で降板した。

　そして、阪下のセンバツが終わった。

エースナンバーを背に優勝候補として臨んだセンバツでまさかの1回降板に終わった阪下。原因は右ひじのケガだった　©JIJI PRESS

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　チームが2回戦で広島商に敗れた直後の取材で、右ひじを故障したため登板を回避したことが本人の口から明かされた。

　発せられたのは、もどかしさだった。

「絶対に投げたいという気持ちが強かったんですけど、スタッフやトレーナーの方には自分の将来のことをすごく気にしていただいて、『無理をせず夏に向けて万全に整えられるように』って声を掛けてもらいました。せっかく自分たちで掴んだ甲子園だったので、投げてチームに勝利をもたらしたい気持ちは強かったですが、それが叶いませんでした」

　阪下を不完全燃焼のまま終わらせた原因は、右ひじの靱帯損傷だった。

＜次回へつづく＞