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甲子園の風BACK NUMBER
「夏の甲子園、公立校の優勝はもう無理?」18年前から優勝ゼロ…“史上最少6校のみ”低迷する公立校の本音「佐賀北も練習時間が激減した」「部活全体が縮小」
posted2025/08/15 11:09
2007年夏に優勝した佐賀北。この“がばい旋風”以降、公立校は優勝していない
text by

田中仰Aogu Tanaka
photograph by
JIJI PRESS
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野球部員116人“マンモス公立校”
つづいて千葉。今夏の千葉大会には147チームが出場した。全国屈指の激戦区を制したのが市立船橋である。体育科があり、サッカー部も全国的な強豪として知られる。野球部員数は116人(女子部員含む)。
「うちの学校はそれぞれの部が刺激し合って結果につなげるという。全部、手を抜かないでやるというのが学校の雰囲気としてある」
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市立船橋監督の海上雄大(44歳)がつづける。
「設備は私立に太刀打ちできないんですけども。公立・私立だから、っていう意識はあまりないですね」
それにしても100人以上の選手がよく集まるものだ。県外は各学年に2人ほど。公立校でこれほど多い部員を有するチームも珍しいのではないか。
男子部員はそれぞれ3年生47人、2年生29人、1年生24人。飛び抜けて3年生が多い。理由は2022年の夏。「甲子園で戦う市船橋を見て」県内の中学生が進学を決めたのだ。全国放送される甲子園は、出場校にとってアピールの絶好の場でもある。
「現役の選手がいい顔しながらテレビに映ったりとか。いいイメージを保って、憧れてもらえる野球部であり続ける。それが中学生にとって魅力になると思うので」
市船橋は8月9日の初戦、明豊(大分)に2-6で敗れた。公立校の初戦戦績はここまで1勝3敗、残すは2校。
「練習時間が大幅に減りました…」
次の試合を落とせば公立校の初戦負け越しが決まる――命運は最後の公立優勝校に託された。佐賀北である。2007年の夏、決勝で広陵を破って優勝した。佐賀弁で“すごい”を意味する「がばい」旋風と呼ばれた。
佐賀も徳島と同様に「公立王国」で知られる。今年を含めて過去10大会、夏の佐賀大会を制した高校の10校中8校が公立校だ。
出場校が提出する統一アンケートで佐賀北の回答に気になる一文があった。

