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セで異常事態「3割バッター消滅危機」近本光司・中野拓夢・佐藤輝明の首位打者争いは「.290台ギリギリの低打率」背景の“2大要因”とは 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2025/08/12 17:01

セで異常事態「3割バッター消滅危機」近本光司・中野拓夢・佐藤輝明の首位打者争いは「.290台ギリギリの低打率」背景の“2大要因”とは<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

現時点で首位打者の阪神の近本光司。ただ打率は同僚の中野拓夢、佐藤輝明とともに.290台前後である

 5人のうち、DeNAの牧を除く4人は、故障、不振のため今季は規定打席に到達していない。さらに唯一規定打席をクリアしていたDeNAの牧秀悟(打率.277)も8月1日に登録を外れ、7日に左手親指の付け根の関節にあるじん帯を修復する手術を受けて、今季絶望となっている。

 彼らだけでなく、打撃タイトル争いの常連だったヤクルトの村上宗隆、巨人の岡本和真も長く欠場していた。こうした大物選手の戦線離脱が、レギュラーを固定できず、3割打者消滅危機の原因になったと言うことはできよう。

試合時間が短縮…「打高投低」の流れが明らかに強い

 しかしながらNPBの野球がここ数年「打高投低」の流れにあるのは間違いない。

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 2023年まで3時間10分だった平均試合時間(9回)が、今季セで3時間4分、パで3時間2分にまで短縮されている。打撃戦が減って、投手戦――もっと言えば、あっさりした試合が増えているのだ。

 投打のバランスを考えても、これはいいこととは言えないだろう。ボールの反発係数を確認する必要もあるが、それとともにチームごとに「打撃力アップ」に取り組む姿勢が必要ではないか。

【第18週】 ※2025年8月4日から8月10日まで
〈セ・リーグ〉
・チーム順位
阪神104試63勝39敗2分率.618差-
巨人102試50勝49敗3分率.505差11.5
DeNA101試46勝50敗5分率.479差14
広島102試44勝53敗5分率.454差16.5
中日102試45勝55敗2分率.450差17
ヤクルト97試35勝57敗5分率.380差23

・第18週
巨人5試4勝1敗0分率.800
阪神6試4勝2敗0分率.666
広島6試3勝3敗0分率.500
DeNA5試2勝3敗0分率.400
ヤクルト6試2勝4敗0分率.333
中日6試2勝4敗0分率.333

 巨人が好調だったが阪神の勢いも止まらない。前述のとおり、マジック28。ここへきてヤクルトの消化試合数が極端に少ないのが気になる。

〈パ・リーグ〉
・チーム順位
ソフトバンク102試62勝36敗4分率.633差-
日本ハム102試60勝40敗2分率.600差3
オリックス99試50勝46敗3分率.521差11
楽天100試48勝50敗2分率.490差14
西武101試46勝53敗2分率.465差16.5
ロッテ98試37勝58敗3分率.389差23.5

・第18週
ソフトバンク5試4勝1敗0分率.800
楽天5試4勝1敗0分率.800
日本ハム5試2勝3敗0分率.400
西武5試2勝3敗0分率.400
ロッテ4試1勝3敗0分率.250
オリックス4試1勝3敗0分率.250

 ソフトバンクがじりじりと日本ハムに差を付けつつある。4位楽天が好調で、オリックスとの差は3に縮まった。

【次ページ】 サトテルの打撃成績が圧倒的…MVP最有力

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