藤井聡太23歳は「桁違いの読みなのに不思議なのは」「まるでマシン」絶対王者に3連敗…杉本和陽33歳が激白「すぐ斬られるんじゃないかと」 

「できれば終盤に多く時間を残していたかったので、焦りがありましたね。例えば藤井棋聖が残り10分になった段階で最低30分は欲しいなと思っていたんですけど、並走する感じになったので厳しいかなと」

――その後の形勢の流れは杉本さんが少し悪くなって、また盛り返したようにも見えましたが、対局中の感触はいかがでしたか？

「チャンスが来ているなという感覚がありましたけど、つかむことができませんでした。その辺りで有力だった私の手は、あとから感想戦で藤井棋聖に全て指摘されたものです。そこははっきりと実力差を感じさせられる場面でしたね」

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――藤井棋聖が感想戦で「これは千日手を受け入れます」というようなことを言っていた記憶がありますが。

棋聖戦第1局の藤井　©日本将棋連盟

「あれは緩めていただきました（笑）。実際はまったく千日手になっていないので、こちらの負けです。多分、気遣っていただいたんだと思います」

生半可な手を指そうなら、すぐ斬られるんじゃないか

――開幕戦は杉本さんが健闘したという評判でした。杉本さんご自身はどう総括しますか？

「もちろん実力差を客観的に考えたら健闘だと思います。でも勝負をしているのに、善戦でよかったと思うのは当事者として滑稽です。他の方にそう言われてムッとするとかは全然ないんですよ。客観的に見ると上出来だなと自分でも思うんですけど、そこで満足したら勝負師として終わってしまう。ただ安堵感があったのも事実なんですよね」

――勝負前には「ワンサイドになるんじゃないか」という心配をしていたぐらいですもんね。

「そうですね。ただ先手番の第1局を落としたので、厳しくなったなあという気持ちもありました。しかも自分では、藤井棋聖の喉元にすら届いてないぐらいの感覚だったので、周囲の見解よりも差はあるかなと思いました。やはり中・終盤での競り合いで力の差が出ましたね。開幕前に序盤の研究に比重を置きすぎていたのかもしれません。もう少し中・終盤を強化するような準備をすべきだったのかな、と」

――大舞台で初めて指して、藤井棋聖について感じたことはありましたか？

「本当に盤上にしか興味がないんだなあという感じをすごく受けました。局面が難しければ難しいほど盤上に没入している感じがあって、盤を挟んだ迫力は恐怖心さえ感じるくらいでした。こちらが生半可な手を指そうものなら、すぐ斬られるんじゃないかという鋭さは感じましたね」

まるでマシンのように感じたんですよ

――他の人との対局でそういうことを感じたことはありましたか？

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