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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
“偏差値70”超進学校の快腕、センバツ優勝“横浜高も手を焼く”剛腕サウスポー…ベテラン記者が選ぶ高校野球「甲子園不出場」の逸材たち
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安倍昌彦Masahiko Abe
photograph bySankei Shimbun
posted2025/08/06 11:03
U18日本代表候補にも選ばれた学法石川のキャッチャー・大栄利哉。惜しくも県予選で敗れ、甲子園の出場はならなかった
地方予選が終わった球児のいまは?
さて、地方大会の激戦を闘った勇者たちは、今ごろどんな夏休みを過ごしていることだろうか。
見きれなかったテレビ中継のビデオなどを眺めていると、「ここで懸命にボールを追いかけている彼らは、もう高校野球の現場にはいないんだな」などとおセンチな気分になるのも、地方大会が終わり「甲子園」が始まるまでの1週間ほどの間のことだ。
高校野球が終わってしまった高校3年生と、これから本当の高校野球が始まるみたいな高校3年生の両方がいる「ちょっとへんな時間」。あれもやりたい、あそこにも行きたいと夢見ていたことを、片っ端から実行に移して「青春」を謳歌しているんだろうなと思わせる元・球児たちを、街でよく見かけるようになった。
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進学を志す者は、予備校の夏期講習に通ったりもしているのだろうし、都会の高校で寮生活をしていた者は、故郷に戻って懐かしく穏やかな景色を眺めながら、過ぎ去った激しい季節に思いをはせていたりするんだろうなぁ。
紺碧の千葉の海で、背中浮きでプ~カプカ、プ~カプカしながら空を見上げ、向こうの海の家のほうから聞こえてくるラジオの「甲子園」に、「この千葉の青空と甲子園の空がつながってるなんて絶対ウソだよなぁ」と、そんなことを考えていた半世紀前が、いとおしいほどなつかしい。

