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ドラフト1位指名を反故→「投手コーチをやらないか」牛島和彦と長嶋茂雄のすれ違いプロ人生秘話「僕みたいなやんちゃは紳士にはなれない」
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赤坂英一Eiichi Akasaka
photograph byNumberWeb
posted2025/08/05 11:14
トレード、そして現役引退後まで、牛島が激動の日々を明かした
「長嶋さんからは熱心に誘われました。『牛島くん、ピッチングコーチをやらないか』と。悩みましたよ、相当悩みました。
あのころ、よく他球団を辞めた人が巨人のユニフォームを着るケースとか、流れがあったじゃないですか。でも、僕は現役時代にまず中日で頑張って、次にロッテで『10.19』や抑えでも先発でも頑張って、それで引退したら現役時代に何の関わりもなかった巨人のユニフォームを着るのかと考えた時、それはちょっと違うんじゃないかと思ったんです」
長嶋さんと衝突したくなかった
牛島にはもう一つ大きな懸念があった。投手コーチという仕事は、監督と衝突することが避けられない。実際、長嶋の下でも、数多くの投手コーチが投手と長嶋との板挟みになり、言うに言えない苦労を強いられ、退団していった。
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「監督と投手コーチって、絶対揉めるでしょう。それはしょうがないんですよ。天下の長嶋茂雄に声をかけられて、大変うれしいし、光栄なことやけど、じゃあ、長嶋さんに意見したりできるのかと言ったら、とてもじゃないけど、難しい。
投手コーチはやっぱり、投手の体を守ってあげないといけないじゃないですか。例えば連投している投手がいて、監督に『まだいけるか』と聞かれた時、投手コーチが『大丈夫です』と言ってしまうと、投手はもう疲れ果てているのにマウンドにいかないといかんでしょう。

