絶対王者に中盤まで“衝撃のリード”!?…高校野球「15人だけの連合チーム」が見せた“弱者の兵法”「野球って、やってみないと分からない」 

　引き締まったかに思えた試合は、菅原が日頃の練習から懸念材料に上げていた守備に、少しずつ綻びが生じてくる。5回、1アウト二塁で細谷のショートゴロによる挟殺プレーを成立させられなかったところからピンチを広げたことで、同点とされてしまった。

5回を終えて同点も…エラー続出で万事休す

　5回まで4-4と菅原の思惑以上の健闘を見せていた6回。2アウト一塁から竹内のセンター前ヒットを栗原陸が後逸してしまいバッターランナーまでも生還させ、4-6と勝ち越しされた。7回にも1アウト二、三塁からピッチャーゴロからの挟殺、ショートゴロのエラーとミスが続くなど4失点を喫した。

　初回に4点を奪って古谷野を2回でノックアウトした打線は、3回から登板した管野からヒット1本のみと沈黙していた。そして、聖光学院に主導権を奪われて迎えた8回裏。無死満塁からヒットを許した瞬間、コールドゲームが成立し、4-11で試合が終わった。

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「5回で同点だったんで、『なんとか9回まで』とは思っていたんですけどね。ただやっぱり、守れなかったので予想通りというか」

　菅原が想定内を語るのは、いわば試合後に報道陣に向かって総括するような建前だ。

　本音はどちらかというと喜びにあるのではないか。そんな菅原の感情が垣間見えたのは、「連合チームを率いたなかでは、ベストゲームだったか？」と尋ねたときだった。

「野球って、本当に試合をやってみないとわからない。特に高校生ってそうだと思いますね。力的に全く敵わない相手に、打てないような子がヒット打ったり、ピンチの場面で『これはヒットになるだろうな』って打球をダイビングして捕ったり。初めから諦めていたら、絶対にあんなプレーは生まれなかったし、ああいうゲームもできなかったと思うんですよ。本当に選手には驚かされました」

　連合チームとは、埋没しがちな存在である。

　4-11。スコアを見ただけならば、きっと「聖光学院から4点も取ってすごいね」と流されるだろう。それが、彼らの歩みに触れることによって、この4点の価値はより色濃く映し出される。

　2025年夏の爪痕は、56歳となった指導者をみずみずしくさせる。

　菅原が恥ずかしそうに笑い飛ばした。

「そういうのがあるから、『もう、やってらんねぇ』とか思いつつ指導者をやっているんでしょうかね、30年も」

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高校野球“世紀の番狂わせ”を目指した「15人の連合チーム」ウラ話…「爪痕は残せるかな」“絶対王者”聖光学院に「中盤までまさかのリード」の衝撃