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「1991年ドラフトの失敗」暗黒時代の阪神が中村紀洋を獲らず萩原誠を1位指名したワケ…名スカウトの怒り「結局、獲りやすい選手を獲っていた」

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喜瀬雅則Masanori Kise

photograph byKYODO

posted2025/08/04 17:00

1991年のドラフトで阪神が指名した選手。高校生野手にはのちの大打者・中村紀洋もいたが、阪神は萩原誠（中村勝広監督の左隣）を1位指名した

　その“弱気なスカウト活動期”として菊地が指摘した時期は、中村勝広（千葉／早大／71年2位）、藤田平（和歌山／市和歌山商高／65年2位）、吉田義男（京都／立命館大中退／53年入団）、野村克也（京都／峰山高／99年入団）が監督を務めた1990年から2001年までの12年を指す。

　最下位8度を含む、Bクラスが11年という「暗黒時代」だった。

　阪神の大きな“失敗”の一つは、1991年だった。

　ドラフト1位指名した大阪桐蔭高・萩原誠（大阪）の評価に、菊地は疑問符をつけた。

「野手でいえば、1位だと全部が全部、長打力があって、足が速くて、肩が強いって、そうはいかないけど、高校生の場合は何か一つでも、だよ。（萩原）誠は、足が遅かったわけですよ。じゃあ、飛ばす能力が人一倍あるのかといったら、そこまでの能力はなかった。

　当然金属バットでやってるわけだよね。木になったときにどういう対応ができるのか。そこをスカウトは見なくちゃいけない。やっぱり、スイングスピードとか、どう考えても物足りなかった。今の空振りだったら、当たったら150メートルは飛んでたぞ、とかね、そういう魅力が見えなかったんだよな、やっぱり」

　菊地がスカウトに就任した直後の90年代序盤の阪神は、担当地域にそれぞれ同じポジションで有力選手が出たとき、お互いの担当地域に足を運んで、その当該選手同士を比較する「クロスチェック」を、まだ行っていなかったのだという。

　そうすると、当時の編成部内でのパワーバランスや、スカウトの“惚れ込み度”によってその当該選手の指名が左右されてしまうことは否めない。

「甲子園で優勝だろ？　甲子園の数字を残しているとなると、自動的にもう、こっち、となっていくんだよな。流れちゃう。でも、その方が楽なんだ」

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