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ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
「天才ですから、彼は」武居由樹29歳が“本気で語った”ライバル那須川天心「次もかなり進化する…怖いですね」「テーマは天心戦。そこはブレてない」
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渋谷淳Jun Shibuya
photograph byNumber Web
posted2025/07/29 11:03
真剣な表情で那須川天心について語るWBO世界バンタム級王者の武居由樹
「僕の中でテーマは天心戦です。彼が来るのをずっと待っている状態です。ボクシングに転向したころから言っていることなので、そこはブレてない。9月にメディナ選手に勝てばその次、来年にあるかなあという感じです。無敗対決にこだわりはないんですけど、僕がチャンピオンのうちにやりたいという思いはありますね」
那須川天心への本音「やっぱり天才ですから、彼は」
武居は那須川のデビュー戦から注意深くその戦いを見守ってきた。スタートから世界チャンピオンになることを宿命づけられたライバルは一戦ごとに力をつけ、ボクシング転向から2年余りで世界挑戦の一歩手前まで駆け上がってきた。
武居にとってこうした那須川の躍進はすべて想定の範囲内だったという。
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「正直、彼がボクシングに転向する前からこうなる(これだけの活躍をする)とは思ってました。やっぱり天才ですから、彼は。昔からずっとそう思っています。だからこそ戦いたいという気持ちが強いんです」
那須川は2月、武居がタイトルを奪ったジェーソン・モロニー(オーストラリア)とのノンタイトル戦に判定勝ち。武居はその姿をしっかりと目に焼き付けた。
「うまく戦っているなと思ったし、天心くんがあんなに打ち合うんだという新しい発見もありました。成長しているというか、引き出しが増えているというか。ビックリしました。6月の試合も『こう動くんだ、こういうパンチ打つんだ』と、自分が戦うことを想定して見ていました」
SNS上では「那須川はパンチがない」「それほど強くない」といった投稿も見られるが、武居の目に映る那須川はやはり天才だ。「たぶん次の試合でもかなり進化してくると思うんです。そう考えると怖いですね」と警戒心は高まるばかりである。
目標に近づくためにもまずは9月のメディナ戦だ。「何が何でも勝ちたい」と口にする武居は今、自らのレベルアップに懸命に取り組んでいる。古巣であるパワー・オブ・ドリームの古川誠一会長からはジャブの修正という課題を与えられた。
「右肩をけがして右を使わずに練習をしていた時期があったからか、以前とは右ジャブの打ち方が違う、あまりいい打ち方じゃないと指摘してもらいました。言われてみればそうだなという感じで、最近はジャブの打ち方を修正しています」

