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「日韓企業の未払い問題を知っていたはず」バルサ戦中止騒動ウラ事情…スペイン人記者が指摘「以前はイニエスタの会社で首尾よかったのに」 

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ホルヘ・カストロ・ピコン

ホルヘ・カストロ・ピコンJorge Castro Picon / Relevo

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posted2025/07/28 17:01

「日韓企業の未払い問題を知っていたはず」バルサ戦中止騒動ウラ事情…スペイン人記者が指摘「以前はイニエスタの会社で首尾よかったのに」<Number Web> photograph by Koji Watanabe/Getty Images

バルサのラポルタ会長とともに笑顔の三木谷浩史会長。今回の中止騒動の裏事情とは

 ハンジ・フリック監督が時差を考慮して早朝のトレーニングの準備をする一方、運営側の人々は限られた選択のなかから代わりのフライトを探したり、鳴り止まない電話に応じなければならなかったという。ある広報担当者は、実際にどうなるのか、その時点では不透明だったと、ひっそりと明かした。

 バルセロナを密に取材するジャーナリスト、アレックス・ピンタネルは次のように語る。

「実におかしな状況だったが、バルセロナはまっとうな対応をしたと思う。ただし、彼らはヤスダの未払いの問題を知っていたはずなので、もっと早く然るべき措置を取るべきだったとも感じる。期限日まで待つのではなく、早い段階で先方に中止の選択もありうると知らせるべきだったのではないか」

楽天が“約14億円”肩代わりか

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 もっとも選手たちは、特に動揺することもなく、課せられたトレーニングを消化していった。バルセロナのツアーの成り行きは、スペインでもヘッドラインを賑わせていたが、彼らはピッチ上で汗をかき、ジムのセッションもこなしていった。

 日本行きが白紙になったかと思われたその時、『楽天』が救いの手を差し伸べた。三木谷浩史会長のもと、過去にバルセロナのグローバルスポンサーを務めたその日本企業は、ヤスダがD-Drive社に支払わなかったとされる800万ユーロ(約13億8900万円)とも言われる費用を肩代わり。これにより、神戸で多くのファンが楽しみにしていたチャリティーマッチの開催が、二転三転した後に実現することになった。チームは25日11時のフライトで発ち、およそ12時間後に関西国際空港に降り立った。

 韓国のD-Drive社には、元スペイン代表FWで引退後はスペイン・サッカー連盟のスポーツディレクターを務めたアルベルト・ルケや、スペイン人の元プロテニス選手のフェルナンド・ソレールが雇われており、彼らを通じたスペインとの太いパイプがこうした興行を実現させたようだ。とりわけ前者は、バルセロナのジョアン・ラポルタ会長の右腕として知られるエンリク・マシップ副会長と良好な関係を築いている。

イニエスタの会社のときは首尾よかったのに

「プロモーターを変更したことこそ、バルサの過ちだと思う」

 こう書いたのは、カタルーニャ州最大の一般紙『ラ・バングアルディア』のアルベルト・マルティネス記者だ。

【次ページ】 イニエスタの会社のときは首尾よかったのに

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