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「ユウキ!ユウキ!」大歓声は異例…河村勇輝(24歳)はなぜNBAシカゴ・ブルズと契約できたのか? 「最悪の試合」から始まった“短期決戦”の舞台ウラ
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宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGarrett Ellwood/NBAE via Getty Images
posted2025/07/25 11:02
NBAシカゴ・ブルズとツーウェイ契約を結んだ河村勇輝。新天地での背番号は「8」に決まった
サマーリーグ第4戦の相手、ミルウォーキー・バックスには、このサマーリーグ登録選手の中で、唯一河村より身長が低いマーキス・ノウェル(170cm)がいた。
実は、彼とは昨季、Gリーグのシーズン中に2回対戦しているのだが、その2試合合計で65点、23アシストを取られていた。それだけに、河村も警戒して試合に挑んだ。
NBAの試合では自分よりサイズが小さい選手と対戦することは滅多にないが、ただでさえ小さいガードをロスターに入れるチームが減っている中で、同じようなサイズの選手に負けるわけにはいかない。
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「しっかりとプレッシャーをかけること、自分が自分よりも大きい選手にやられたら嫌なことを、自分が彼にやれればいいなと思っていた」と河村。
身体を張ったディフェンス、フルコートでのマークを徹底。さらにスクリーンの後のプルアップショットに対しては、後ろからでも手を伸ばし、コンテストすることを心掛けたという。実際、ブロックはつかなかったが、ミスショットを誘った場面はあった。
同じようなサイズだけに、対戦することで学べることも色々とある。その中でも河村がノウェルから学べることとしてあげたのが、ドライブ後の判断力とリム周辺でのシュートを決め切る力。サイズが小さいからこそ、外でプレーするだけでは脅威にはならない。積極的にペイント内に入ることや、相手の隙を狙ってゴール下のシュートを決める力も必要だ。それは、このサマーリーグを通して、河村が改めて感じていたところでもあった。
「ユウキ!ユウキ!」異例の大歓声
NBAサマーリーグは少し特殊な大会で、試合の勝敗はさほど大きな意味を持たない。また、序盤こそ注目選手が出場してファンもメディアも盛り上がるのだが、終盤になると2年目の有望選手や、ドラフト1巡目指名選手は抜け、ロスター枠やトレーニングキャンプ招待を狙う選手たちの戦いの場となる。スタンドにも空席が目立つようになる。
そんな中で、河村はどの試合でも試合に出てくると喝采を受け、「ユウキ! ユウキ!」との声援を集めていた。日本人などの元からの河村ファンはもとより、初めて河村のプレーを見るファンをも一瞬で虜にしていた。多くのファンから応援され、日本中から期待をかけられることについて聞かれると、河村がいつも言うセリフがある。
「僕は、彼らの期待を超えたいと思っています」
期待に応えるのではなく、期待を超えるようなプレーを見せる。それも彼のモチベーションのひとつだ。そして、これまで何度もそれを成し遂げてきた。このサマーリーグでもそうだった。


