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阪神独走…なのに中日だけが7勝5敗の“珍現象”「クインテット分断作戦」成功の井上一樹監督「俺は苦手意識ないよ」と豪語する猛虎封じのキモ 

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小西斗真

小西斗真Toma Konishi

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posted2025/07/25 11:05

阪神独走…なのに中日だけが7勝5敗の“珍現象”「クインテット分断作戦」成功の井上一樹監督「俺は苦手意識ないよ」と豪語する猛虎封じのキモ<Number Web> photograph by SANKEI SHIMBUN

5球団の中で唯一、阪神に勝ち越して前半戦を折り返した中日。後半戦の台風の目となるか?

 阪神に対し、中日の7勝5敗。天敵というほどではないが、近年の両チームの力関係を考えれば意外ではある。直接対決も2019年を最後に5年連続負け越しており、昨シーズンにいたっては敵地・甲子園で10敗1分けと屈辱の未勝利で終えている。要するにヘビが阪神で、にらまれると身がすくむカエルの方が中日という図式だったのが、今シーズンに入って大きく変化した。

中日だけ阪神に強い「珍現象」

 大の苦手だった甲子園で3勝3敗。今シーズンの阪神が甲子園以上に勝ちまくっている(29勝16敗1分け)ビジターのバンテリンドームでも4勝2敗。他球団がこぞって惨敗しているだけに、なおさら野球ファンの間で「珍現象」として話題に上がっている。

「俺は(負けていた)去年まではやっていないわけだから、苦手意識はない」

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 阪神での指導者歴がある井上監督は、ずっとこう話しているが、かといって特別な秘策があるわけでもなさそうだ。恐らく中日関係者の中で「阪神与しやすし」と思っている人はいない。とはいえ、結果として勝てている理由は浮かび上がっている。それは「強力打線の分断」に成功していることだ。

中日はなぜ勝てている? 

 近年のプロ野球は「猫の目オーダー」が主流だが、阪神は岡田彰布前監督時代から「固定」を強みとしている。今シーズンでいえば1番・近本光司、2番・中野拓夢、3番・森下、4番・佐藤、5番に大山悠輔である。残り3人を遊撃、左翼、捕手で回しているが、上位5人がチームの骨であり肉なのは疑う余地はない。本塁打と打点(佐藤が1位で森下が2位)、出塁率(中野)、盗塁と安打数(近本)と軒並みタイトルを争っている上に故障知らず。わかりやすくいえばこのクインテットを全員抑えることなど不可能である。

 だからポイントはいかに「分断」するか。それすらもたやすいことではないのだが、何とかできているのが中日投手陣だ。セ・リーグ5球団の中で、中日戦の打率が最も低いのが近本(.189、盗塁0)と森下(.188)。2番目に低い大山(.209)には本塁打を打たれておらず、3打点もカード別では最少だ。

【次ページ】 肝は“クインテッド”の分断

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