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卓球PRESSBACK NUMBER
世界卓球で涙、過呼吸で苦しんだ平野美宇が明かす“真実”「休もうか、卓球を辞めようか」救われた中国でのひと言「泣かずに楽しくやったらいいよと…」
text by

高樹ミナMina Takagi
photograph byAsami Enomoto
posted2025/07/25 11:00
女子卓球・平野美宇のインタビュー(第1回)
世界選手権後の本音「もう卓球を辞めようか…」
――世界選手権で辛い思いをした直後にもかかわらず、中国で伸び伸びとプレーができたのはなぜでしょう?
平野 最初は緊張してたんです。深圳大学は去年リーグ2位のチームで強い選手が3人(孫穎莎、蒯曼、覃予萱)います。そのうち孫穎莎選手は世界選手権のチャンピオンで、蒯曼選手はダブルスチャンピオン。そんなチームで自分が試合に出してもらえるかどうかも分からず「私、必要あるかな?」って。でも、私を試合に使っていただいて、しかも「勝つことは大事だけど、まずは楽しんでやればいいよ」と監督が言ってくださって安心してプレーできました。
――張コーチがベンチに入ってくれたのも安心感があったでしょうね。
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平野 日本語でアドバイスしてくれて、すごくいい環境でプレーできました。張さんには本当に感謝しています。世界選手権の時は本当に落ち込んで、ホテルの部屋で「しばらく休もうか。それとも、もう卓球を辞めようか」と迷ったりもして……。そんな大変な時に声をかけてくださったので、すごくありがたかったです。
「きつかった」パリ五輪後にできなかった“気持ちの整理”
――これまでいくつもの試練を乗り越えて来た美宇さんですが、世界選手権での出来事はこれまでとどう違いましたか?
平野 これまではオリンピックのシングルス代表にどうしてもなりたいけど、なれないかもしれないという不安だったり、実際、東京大会の時はシングルスの代表になれなかったりしたのがしんどかったんです。でも、今回はパリオリンピックが終わって自分の気持ちを整理する間もなく「とりあえず頑張ろう」という漠然とした状態で世界選手権へ突き進んでしまった。それがきつかったです。
もちろん世界選手権には出たかったし、パリオリンピック団体で銀メダルを取って推薦されたので、せっかく自分で勝ち取った権利を絶対に生かしたいという思いもありました。でも、世界選手権本番は結果を出せず、通知表を突きつけられた感じ。「このままでは上手くいきませんよ。何かを変えないとまずいですよ」と言われたような気になりました。だから余計に中国超級リーグ参戦は自分にとっていいタイミングで、気持ちを立て直すきっかけになりました。《後編に続く》
(撮影=榎本麻美/ヘアメイク=大門友子)


