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卓球PRESSBACK NUMBER
世界卓球で涙、過呼吸で苦しんだ平野美宇が明かす“真実”「休もうか、卓球を辞めようか」救われた中国でのひと言「泣かずに楽しくやったらいいよと…」
text by

高樹ミナMina Takagi
photograph byAsami Enomoto
posted2025/07/25 11:00
女子卓球・平野美宇のインタビュー(第1回)
平野 私がプレーした深圳大学チームは雰囲気がすごく明るくて、あまりプレッシャーなく楽しく試合ができました。高穎監督も会った瞬間から「今回は泣かずに楽しくやったらいいよ」と言ってくださって(笑)。世界選手権の私の試合ぶりが中国でも話題になってたみたいなんです。「平野美宇が大変なことになってるぞ」って。張さんがコーチとして深圳大学チームのお手伝いをしているご縁で高監督が張さんを通じて今回のお話をくださいました。
――なるほど、そういう経緯があったんですね。孫穎莎選手とはどんな交流をしましたか?
平野 孫穎莎選手は世界卓球後、休養を取っていて出場しなかったんですけど、1試合目はベンチでアドバイスをくれました。孫選手の言うことは的確で説得力があって、普段から物事を細かく考えているんだなと感じました。私と同い年なんですけどベンチにいてくれるだけですごく安心感がありました。
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――4歳下の蒯曼選手とダブルスを組んで勝ちました。初ペアと思えないくらいコンビネーションが良かったように見えましたが。
平野 もともとダブルスの上手い選手で実際、凡ミスが無いしコースを突くのがすごく上手いんです。世界選手権ドーハのダブルスチャンピオンから学ぶことがたくさんありました。コミュニケーションに関しては、相手は日本語が分からないし、私の中国語も完璧ではないので不安があったんですけど、蒯曼選手がゆっくり簡単な中国語で話してくれたおかげで何とかコミュニケーションを取ることができました。
世界女王・孫穎莎からもアドバイスをもらった
――美宇さんもこれまでいろいろな選手とダブルスを組んできました。ご自身の経験を生かせた部分と若手の蒯曼選手(21歳)から学んだことはありますか?
平野 蒯曼選手は左利きで、私も左利きの選手とはたくさんダブルスの練習をしてきて、東京オリンピックでは石川佳純(全農)さん、パリオリンピックでは早田ひな(日本生命)選手と組ませてもらった経験を生かせました。蒯曼選手とは練習の時から結構息が合っていたので、試合でもいけるんじゃないかという手応えはありました。
実際、彼女のコース取りが上手くレシーブの安定感も素晴らしくて、私のような右利きの選手が打ちやすいボールが返って来るコースやタイミングを考えてくれてるんだと感じました。その一方で課題もあって、ラリーが続くと自分が台から少し下がってしまうので、もっと自分たちの位置で打てるようにしたいと思いました。孫穎莎選手からも「次に組む時はこうしたほうがいいよ」とアドバイスをいただいたので、次の第2ステージ(7月25~28日)では改善したいです。
――シングルスにも出場し、勝負を分けた大事な場面で競り勝ってフルゲームの激戦を制しました。手応えはどうでしたか?
平野 自分の出番はダブルスだけかなと思っていたんですけど、シングルスも3番で出してもらうことができて、すごく嬉しかったです。相手の王暁彤選手とは初対戦でしたけど、身長が高くてパワーもあってラリーが強い。前日には世界選手権ドーハの中国代表・銭天一選手に勝っていました。王暁彤選手と試合をしながら、「やっぱり中国には強い選手がいっぱいいるな」と改めて思いましたし、中国選手との対戦では自分にちょっとでも選択ミスがあると一気に点を離されてしまうことがよく分かりました。


