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「甲斐拓也はタッチしていたのか?」よりも…岡田彰布も苦言「リプレイ検証に異議→即退場ルール」は妥当か? 巨人・阿部慎之助監督の“退場”に違和感 

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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posted2025/07/06 11:04

「甲斐拓也はタッチしていたのか?」よりも…岡田彰布も苦言「リプレイ検証に異議→即退場ルール」は妥当か? 巨人・阿部慎之助監督の“退場”に違和感<Number Web> photograph by JIJI PRESS

リプレイ検証の判定をめぐって退場宣告された巨人・阿部慎之助監督

〈事件の起こった8時過ぎに視聴者からの電話約10本が集中し、一時は外部回線がつながらないほどだった。内容は「なぜ乱闘中にCMを入れたのか」という“怒り”の電話ばかり。(中略)3本のCMを入れたが、うち1本は中日星野監督が笑顔で出演する第一製薬のCMだった〉(90年5月25日付/日刊スポーツ)

 中日からは暴行を働いたディステファーノ、9回に危険球と判断された鹿島忠が退場に。乱闘中、星野監督は巨人の水野雄仁にビンタを見舞ったが、そのまま指揮を執った。翌日、セ・リーグは星野監督に厳重注意、ディステファーノに制裁金100万円、鹿島に戒告処分を下した。星野は審判団への怒りをぶちまけた。

〈オレはゲームを中断させ、遅らせた責任なら厳重注意でも罰金でも、どんな処分でも受ける。でも、これは事実と違う! おかしい! いったい現場(審判団)から連盟会長にどんな報告があったんだ!〉(90年5月26日付/日刊スポーツ)

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 巨人側に何の処分もないことに対し、審判団に激昂した。アンパイヤの立場は決して強くなく、何かとスケープゴートにされていた。

審判が乱闘で骨折した事件も

 昭和の頃から「暴力は良くない」と指摘され、退場者には制裁金や出場停止処分が下されていた。しかし、模範的フレーズに反するように「男の戦いに暴力は付きもの」という深層心理が見え隠れしていた。

 だから、星野監督は“闘将”と呼ばれ、乱闘が起こればファンは喜んだ。良い悪いの問題以前に、時代をうまく捉えていたとも言える。しかし、行き過ぎた暴力は社会的な事件になっていく。

 97年6月5日の横浜戦(長良川)では、大豊泰昭がディミュロ球審の判定に激怒し、2度小突いて退場に。すると、星野監督らがベンチを飛び出し、球審を囲んだ。翌日、ディミュロ審判は「身の危険を感じた」と辞意を表明し、9日に帰国した。

【次ページ】 審判への暴力が消えた今…変えるべきものは?

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