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「しょうがない。全女は終わりだ!」ついに明かされる“倒産の真実”…堀田祐美子が会社に渡した1000万円、その1週間後に「1000万貸して」
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伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph byL)東京スポーツ新聞社、R)Shiro Miyake
posted2025/07/31 11:04
当時選手会長だった堀田祐美子が、全女倒産の日の真実を明かす(インタビュー第2回)
「1000万があれば、ほかからも借りれるから」
――友人は富豪なんですか?
堀田 いや、違う。お金持ちでさ、「これぐらいの金なら大丈夫」っていうタイプではぜんぜんなくて、私と同じ年代で、体ひとつで一生懸命稼いでる人。いま考えたらね、倒産するような会社がだよ、1000万でどうにかなるわけないじゃんってわかるよ、何十億もの負債を抱えてたんだから。だけど、「1000万があればほかからも借りれるから。いまはとりあえずつなぎのお金で1000万が必要なんだ」って、(国松)社長から言われたんだ。私は国松さんと新人時代から仲が良かった。(高司)会長と仲いい選手は少なくて、だいたいその下の俊国さんと国松さんに分かれるんだけど、私は国松派だったのね。いろいろ相談したり、マッチメイクにも私の名前を出してもらったりしてた関係性があったなかで、SUN族(全女が事務所横で経営していたカフェレストラン)に呼ばれたんだ、「ちょっと相談があるんだけど……」って。
――そこで、「友人に1000万円を借りてくれ」と切りだされた。
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堀田 そう。頭を下げられた。「わかりました。聞いてみます」って返して、(友人に)会いに行ったの。「1000万がなければ不渡りになって、明日に倒産してしまうんだ」って、全部正直に話したのね。そしたら友達は「わかった。これで全女が残るんであれば渡す」って、金庫からお金を出してきて、袋に入れたの。「ありがとう。これは絶対返すから」って言ったら、「これはもう堀っちゃんにあげるから。自分が全女に貸すんじゃなくて、好きなように使っていいよ」って言ってくれて、ほんとうにね、ほんとうに泣いた。
――これはすごいドキュメンタリー。
堀田 そのとき友達に「1個だけいい? やりたいことがあるんだ。このお金を投げたい」って言ったの。よく見るじゃん、ドラマとか雑誌で、お金がバァ~ッと舞っているやつ。「ごめんね。ありがとう。クソーッ、全女! だけど、全女が大好きなんだ!」って泣きながら、ワーッて遊んだ。遊ばせてもらった。すぐに拾って、「1枚ないぞ」とか言いながら、何回も数えたりして(笑)。いま思い出してもね、涙が出てくる、ほんっとに(目頭を押さえる)。そのあと、すぐに(事務所に)持ってったの。

