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サムライブルーの原材料BACK NUMBER
「3部優勝だけではまったく満足してない」岩田智輝がバーミンガムで目指す“1年でプレミア昇格”「見返していきたいという思いがずっとあります」
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byGetty Images
posted2025/07/06 11:01
イングランド3部で独走優勝したバーミンガムのボランチとして全38試合出場6ゴールをあげた岩田智輝(28歳)がNumberWebのインタビューに応じた
自分が足りないものは何かと考え、邪念を払ってトレーニングに打ち込むようになる。修行からは練習終わりになると『100%で練習やれたか?』と尋ねられ、『ほかの人に矢印を向けるな。自分に矢印を向けるんだ』と諭された。その後、スタメンを取り戻して飛躍の階段をのぼっていった。
セルティックでも自分に足りないものを見つめながら日々のトレーニングを終えると100%でやれたかどうかを、己に問うた。状態が良くても試合に使われないシチュエーションが続いたものの、常に矢印を自分に向けた。
岩田はひと息ついてから言葉を紡いだ。
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「ここまで状況が変わらないのはサッカーをやってきて初めてで、少なからずストレスはありました。でもやっぱりトリニータでの経験があったから、自分に(ベクトルを)向けて頑張っていこうと思えた。今やっていることが絶対、次につながるんだと信じて、毎日を過ごしていたつもりです」
大分での苦境を重ねるとともに、もう一つ大切にした言葉があったという。
「『勝負の神様は細部に宿る』です。大分のアカデミー時代に、指導を受けていた監督から教わって、僕のなかで凄く大切にしてきました。凄く些細なことであっても、それが勝負につながっているんだと意識してきたし、ないがしろにしてしまうと運を拾えない。人が見ていないところを大事にしていくというのは、海外に出てからも変わらずやっています」
セルティックでは同じ日本の古橋亨梧、前田大然、旗手が活躍していた。そこに加われないもどかしさはあったとはいえ、彼らには一目を置いていた。
「亨梧くん、大然、怜央はチームでも頭一つ抜けてうまかったと思います。特に怜央のプレーは参考になったし、やっぱりマクレガーもうまいので彼から学ぶことも多かった。セルティックで得たものは本当にいろいろとありました。それが今の自分につながっているのは間違いありません」
岩田は決して自分を見失わなかった。培ってきた自分のマインドを忘れなかった。勝負の神様がきっと見てくれていると信じた。
「見返したい」というモチベーション
すべてはバーミンガム・シティでの奮闘に通ず――。よりタフになって守備の迫力を増し、よりうまくなって、より判断スピードを上げて攻撃のリズムを生み出す役割をまっとうしていく。セルティックでは味わえなかったチームの勝利に貢献できる喜び、サポーターからの声援が養分になっていくことを感じ取れた。

