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「カマダ獲得、当初疑っていたが」ファン手のひら返し…鎌田大地を支えた“恩師の絶大信頼”「パレスは2人との契約延長希望」英国人記者ズバリ
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エド・アーロンズEd Aarons / The Guardian
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/06/29 17:01
日本代表でも不動の存在である鎌田大地。クリスタル・パレス残留が基本路線か
「このチームで歴史を作りたいのだ、と。そのプロジェクトは僕も賛同できるものでした。チームの目標は基本的に、翌シーズンの欧州カップ戦の出場権を獲得することだと思う。自分もそれに貢献したい。クリスタル・パレスにとって、カップ戦はチャンスがあるはずです」
今になって振り返れば、それはまさに予言だった。序盤戦はファンに信頼されるウィル・ヒューズが中盤で重用され、鎌田はイングランドのスピードとフィジカルへの適応に時間を要していた。それでもグラスナー監督は、じきに鎌田が本領を発揮すると信じていたはずだ。10月下旬のアストン・ビラとのリーグカップで途中出場から決勝点を奪った時、鎌田が少しずつ順応していることがわかった。翌月のフラムとのリーグ戦で退場処分になった後も、サポーターたちは彼がチームの力になり始めていることを認めていた。もちろん、グラスナー監督も同様に。
カマダは自信を取り戻しているはずだ
「彼は全体を繋ぐ選手で、その役割は実に重要だ」
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鎌田復権の契機となった4月のブライトン戦の後に、オーストリア人指揮官は言った。
「そのほかにもスタミナなど、特長はいくつもある。おそらく最近の自らのパフォーマンスや、ファンやチームメイトの反応によって、自信を取り戻しているはずだ。もとより、自らの能力に疑いを持つタイプではないと思うけれども」
良いタイミングで状態を上げた鎌田は、その後のFAカップの準決勝と決勝で好パフォーマンスを披露。ウォートンとスムーズに連携し、攻撃陣やウイングバックに効果的なパスを送り続け、守備時には的確に展開を読み、必要とあれば激しくチャージした。グラスナー監督のチームの最大の武器のひとつである鋭いカウンターアタックは、鎌田とウォートンの中盤がなければ、実現していなかっただろう。指揮官はシーズン終盤に入るまで、ヒューズやジェフェルソン・レルマを先発させることが多かったが、この頃には自らの哲学を知り尽くす鎌田を、迷いなく試合開始から送り出すようになっていた。
カマダ獲得を疑っていたが自らの実力で…
筆者は生粋のクリスタル・パレスのサポーターだ。英紙『ガーディアン』紙上で、夢のようなクラブ史上初タイトルの記事も執筆した。第1回でも触れたように――歴史的なシーズンに、この日本人選手が果たした役割は大きく、個人的にも感謝している。共にスタンドで声援を送った仲間のひとりはこう語った。

