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「藤浪投手の完成度は大谷を上回っていた」花巻東の同級生が意外な証言…甲子園で“藤浪からホームラン”直前、大谷翔平がしていた「ある予告」
posted2025/08/08 06:01
2012年のセンバツ大阪桐蔭戦、藤浪晋太郎から本塁打を放つ大谷翔平(花巻東)
text by

上杉純也Junya Uesugi
photograph by
Sankei Shimbun
◆◆◆
「藤浪投手の完成度は大谷を上回っていた」
――そして迎えた春の選抜です。初戦の相手は大阪桐蔭。またもや強敵との対戦です。高校野球ファンからしたらまさに1回戦屈指の好カードとなったのですが、この大一番で花巻東の先発は誰なのだろうと。本番直前の練習試合で大谷選手が6回くらい投げて好投したというのは事前情報として伝わってきていたのですが、それでも秋の大会でまったく投げていない大谷選手を大阪桐蔭相手に投げさせるのかなと。それならば小原さんかなと思った人も多いと思います。
小原大樹さん(以下、小原) 僕も投げるつもりではいました。ただ、実はそのとき肩の調子がちょっと良くなかったのです。それがなければ僕が先発していた可能性もゼロではなかったかと思います。そういう状態でもあり、2回戦以降に投げられるように調整していました。
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――あの試合、5回までは2-0で勝っていました。ただ、6回以降に投手・大谷が攻略されて、計9失点、2-9の逆転負けとなりました。
小原 大阪桐蔭は強かったです。スイング自体からしてちょっと次元が違うなと思いました。ピッチャーとしても完成度は藤浪(晋太郎)投手のほうが上回っていたと思います。本当にレベルの差を感じた試合でした。
――ただ、2回裏の初打席で大谷選手は藤浪投手からライトスタンドに放り込んでいます。あのホームランは今の大谷選手の大活躍を予感させる1発だったように思います。
小原 本人は打席に向かう前に「藤浪投手のウイニングショットを最初に打っておかないと」と言っていました。ピッチャーが自信を持つとのってしまって、いいピッチングをされてしまう。そうなると厄介ですから。だから「決め球を打つ」と宣言して打席に立ってスライダーをホームランにしました。彼自身が投打共にトップクラスの視座を持っていたからこそ、心理的ダメージ含めそのような準備をして打席に臨んだのだと思います。当時も現在も二刀流の最大の長所である双方の視点からのアプローチを体現していたと今になって感じました。
