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「ドラフト指名90人中88番目」でプロ入り…横浜でくすぶっていた木村昇吾がトレードで転機をつかむまで「持病で食べられず…1回の食事に2時間」 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byJIJI PRESS(L)/Shiro Miyake(R)

posted2025/06/25 11:05

「ドラフト指名90人中88番目」でプロ入り…横浜でくすぶっていた木村昇吾がトレードで転機をつかむまで「持病で食べられず…1回の食事に2時間」<Number Web> photograph by JIJI PRESS(L)/Shiro Miyake(R)

横浜入団会見での木村昇吾と、45歳になった現在の木村。実は若いころに食事がとりづらい持病で体力をつけられなかったという

 周りには分かってもらえない苦しみ。

 いつしか二軍暮らしが当たり前になり、2年目の2004年は一軍でわずか1試合、2005年は出場ゼロに終わる。2006年は15試合に出るも打率は.133止まり。プロのハードな環境についていけるだけの体をつくれずにもどかしい日々を送りながらも、木村は腐ることなく野球に打ち込もうとした。

後輩たちが試合に出るなかで「バット引き」を…

 屈辱的な出来事もあった。

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 2006年シーズン、埼玉の地方球場で開催された西武とのイースタン・リーグのゲーム。スタメンに自分の名前はなく、後輩たちも試合に出ていたためにバット引きをやる者が誰もおらず、4年目の自分がやるはめになった。

 試合に出るつもりが、蚊帳の外に置かれて見ているだけ。アップ代わりだと思ってダッシュでバットを引きにいき、いつ声が掛かってもいいように準備した。アピールするようにバットも振った。だが結局、その試合でプレーする機会は与えられなかった。

「そりゃあ悔しかったですよ。家に帰って嫁さんに『きょうはどうだったの?』と聞かれて、さすがにバットを引いていたって言えなかった。でも、どうしてこの状況になっているのかと言ったら、誰のせいでもない、自分のせいなんです。俺に信頼がないから、使ってもらえへんのや、と。絶対にこの状況を変えてやると、自分のなかで誓いました」

【次ページ】 走塁でつかみかけたきっかけ

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