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危険な自爆で頭を強打「記憶が飛んだ」それでも辻陽太からベルトを奪い…ゲイブ・キッド「酒はやめる。会社を背負うんだ」新王者の言葉が“響く”理由
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原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/06/18 17:03
辻陽太を倒しIWGP GLOBALヘビー級王者となったゲイブ・キッド。「新日本プロレスを牽引する」と宣言した
あれほど、浴びるように底なしに飲んでいた男が酒をやめるという。大きな気持ちの変化がそれに表れていた。ゲイブのパフォーマンスは荒くれ者に見えるが、ただの荒くれ者ではない。サングラスを取ればいい目をしている。
「今、今、今、20年代は辻陽太とゲイブ・キッドだ」
6月15日、大阪城ホール。
空中戦の応酬で始まった試合は、2月のエディオンアリーナ大阪のものとは一味違うものになった。4カ月前はダブルノックアウトの引き分けで辻が防衛したが、再戦は一歩も譲らない意地の張り合いとなった。
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「オレとゲイブが紡ぐ物語は、世界に誇る最高の新日本プロレスの試合であることをここに約束しましょう。もし仮に今回も引き分けたら、オレはこのベルトを返上します」
辻はそこまで言い切ってゲイブとの再戦に臨んだ。
ゲイブは切れのいいバックドロップで辻を投げることができた。
タックルvsヒザ。
パイルドライバーvsパワーボム。
コブラツイストも忘れていなかった。
カウンターのラリアットをぶちかまして、AEWのジョン・モクスリーを意識したであろうデスライダーも繰り出した。
最後はパイルドライバーで辻に覆いかぶさり3カウントを奪った。ついにこの時が来た。ゲイブはIWGP GLOBAL王座のベルトを手にして、マイクを握った。
「新日本プロレスの90年代は橋本(真也)と武藤(敬司)。2000年代は棚橋(弘至)と(中村)真輔。10年代はオカダ(・カズチカ)とケニー(・オメガ)。今、今、今、20年代は辻陽太とゲイブ・キッドだ」
倒れていた辻がニヤリと笑った。
「辻、また、会おうぜ」
ゲイブは辻にメッセージを送って、続けた。
「真剣に話そう。オレに何があったか。それは公の事実だ。オレは苦難に直面していた。もう生きることをあきらめるところだった。でも、そんなことは今は関係ない。なぜかって、それはオレが、IWGP GLOBALチャンピオンだからだ。次は誰だ!」
ゲイブは棚橋の名前を呼び、リングに招き入れた。
「ファイナルロードか。行くぞ! 社長!」
ゲイブは来年1月4日に引退が決まっている棚橋と初防衛戦を7月4日に東京武道館で行うことになった。




