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“山本由伸以外は火の車”ドジャース大谷翔平の復帰28球…スイーパーでもスプリットでもなく「黒田博樹の決め球」「盗塁封印」は新・二刀流仕様か
posted2025/06/18 06:02

ついにマウンドへと戻ってきた大谷翔平。手術後初、そしてドジャースでの初登板28球の内容はどんなものだったか
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph by
AP/AFLO
いきなりの大谷翔平のマウンド復帰。その背景には、火の車になりつつあるドジャースの先発投手陣の台所事情がある。
ドジャース先発陣は由伸、メイ以外が…
以下、ドジャースの先発投手陣の現状(現地6月16日時点)。▲はIL(負傷者リスト)入り。
山本由伸14先発6勝5敗
78.1回 率2.64
メイ 13先発4勝4敗
72.2回 率4.46
佐々木朗希 8先発1勝1敗
34.1回 率4.72▲
ナック 7先発3勝2敗
38.2回 率5.12
ゴンソリン 7先発3勝2敗
36回 率5.00▲
カーショウ 6先発2勝0敗
27.2回 率3.25
グラスノー 5先発1勝0敗
18回 率4.50▲
ロブレスキー 2先発1勝2敗
19.1回 率6.05
スネル 2先発1勝0敗
9回 率2.00▲
ストーン 登板なし▲
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10人の先発のうち、5人がIL入り。山本由伸とメイがローテを維持しているだけという惨憺たる状況で、すでに5人の救援投手をオープナーなど先発で起用してきた。まさに「死屍累々」の状況である。
大谷は、試合のある日の昼にBP(試合形式の打撃練習、日本のシートバッティングに近い)で投げ、夜は打者として出場するのはきつい、と訴えたようで――だったらオープナーでいいからMLBの試合で投げよう、とのことらしい。
大谷の登板は、エンゼルス時代の2023年8月23日のレッズとのダブルヘッダーの1試合目以来。ドジャース、ナショナル・リーグでは初のマウンドだった。本拠地ドジャースタジアム、西地区でジャイアンツと共に3つ巴の首位争いを繰り広げるパドレス戦がその舞台となった。
復帰登板28球を振り返ってわかるものとは
以下、復帰登板の全28球のデータとなる。球種は4S=フォーシーム、SK=シンカー、SW=スイーパー、SP=スプリッター。カッコ内は(球速km/h、回転数)。
〈1回表〉
◆1番 タティスJr.(右)
1.内角低SK ファウル
(157.1km/h、2062)
2.内角低SK ボール
(157.9km/h、2004)
3.内角低SW ボール
(139.0km/h、2416)
4.外角低SK ボール
(158.5km/h、2029)
5.真中外4S 空振り
(158.2km/h、2223)
6.内角低4S 右前打
(159.5km/h、2129)
〈無死一塁〉
◆2番 アラエス(左)
7.内角低4S ボール
(158.2km/h、2378)
〈暴投で無死二塁〉
8.内角低4S 空振り
(158.7km/h、2226)
9.内角低SK 見逃しストライク
(156.8km/h、2072)
10.内角低4S ボール
(161.3km/h、2253)★最速
11.外角SW ファウル
(142.9km/h、2419)
12.内角低SK 中前打
(157.7km/h、2009)
〈無死一・三塁〉
3番 マチャド(右)
13.真中外SW ファウル
(139.2km/h、2296)
14.外角4S ボール
(159.5km/h、2198)
15.外角SW ファウル
(139.2km/h、2414)
16.外角SW ボール
(142.3km/h、2546)
17.外角4S ボール
(160.8km/h、2304)
18.外角低SW 中犠飛
(142.1km/h、2488)
パドレスの各打者は大谷の球にしぶとく食いついた。