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“山本由伸以外は火の車”ドジャース大谷翔平の復帰28球…スイーパーでもスプリットでもなく「黒田博樹の決め球」「盗塁封印」は新・二刀流仕様か
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byAP/AFLO
posted2025/06/18 06:02
ついにマウンドへと戻ってきた大谷翔平。手術後初、そしてドジャースでの初登板28球の内容はどんなものだったか
先頭のタティスに投げた2球目、3球目、大谷は自信ありげだったが球審ギブソンのコールはボール判定される。タティスにはセンターの前にポトリと落とされるヒット、冒頭が絡んだのち首位打者経験者のアラエスにも連打されると、マチャドの犠牲フライで先制された。
エンゼルス時代と違う“ある球種”の増加
ただ、ここから大谷は崩れることはなかった。
〈一死一塁〉
4番 シーツ(左)
19.内角低SW 空振り
(135.5km/h、2400)
20.内角低SK 見逃しストライク
(159.0km/h、1871)
21.外角SW ファウル
(139.0km/h、2393)
22.真中低SP ワンバウンドボール
(146.9km/h、1357)
23.内角低4S ボール
(159.5km/h、2370)
24.真中低SW ワンバウンドボール
(140.0km/h、2445)
25.内角低4S 二ゴロ
(159.2km/h、2358)
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〈2死二塁〉
5番 ボガーツ(右)
26.外角低SW 見逃しストライク
(135.0km/h、2339)
27.内角低SK ボール
(153.9km/h、1962)
28.内角低SK 三ゴロ
(153.5km/h、1874)
二塁手エドマンと三塁手マンシーのきびきびとした守備もあって、追加点は許さなかった。なお大谷は打っては1番DHで4打数2安打2打点。3回の同点タイムリーで自身の黒星をあっさり消し、4回にはドジャース打線が一挙5得点を奪ってチームも6-3で逆転勝利した。
28球を振り返ると、先発投手によくみられる「立ち上がりの崩れ」であって、もし2回以降も投げれば立ち直ったのではないかと思われる投球内容だった。アラエスの4球目には161.3km/hを記録。リミッターを解除していた。
そして球種を見れば、2023年とは大きく異なっている。
2023年、エンゼルス時代の大谷はフォーシーム、スイーパー、カットボール、スプリッターという組み立てで、決め球はスイーパーもしくはスプリッターだった。しかしこの日の大谷はフォーシーム9球、スイーパー10球、シンカー8球。スプリッターは1球しか投げなかった。
端的に言えば、25年モデルの大谷は「シンカーボーラー」に変身する可能性がある。
日本人メジャーリーガーでシンカーと言えば、ドジャースの先輩でもある黒田博樹である。黒田のシンカーは145km/h程度で、右打者の内角の絶妙な位置に落としていたが、大谷はフォーシームと同じ軌道から急速に落ちる。そのため打者には見分けがつかないだろう。
コンディションの問題はあるが――ニュータイプの大谷もぜひ見たいと思わされる出来だった。
じつは大谷が“1カ月近く盗塁していない”
打者・大谷を筆頭に、日本人メジャーリーガーの成績も振り返っていこう。

