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浅田真央(34歳)は名指導者になれるのか?「愛を忘れないように」「スケートの基礎から見直している」木下MAOアカデミー発表会見で見えた“覚悟”
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松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2025/06/14 11:00
6月12日に会見を開き、指導者としての道を歩み始めた浅田真央
「スケートの基礎をゼロから今見直している」
木下グループからは「2034年のオリンピックを目指してほしい」、つまりそこに出られる選手の育成を、と背中を押されたと言う。
「私自身もほんとうにその夢がかなうのであれば、そんなうれしいことはないですし、夢は大きく、その目標に向かって進んでいきたいな、というふうに思っています」
一方で、こうも語る。
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「私自身は指導者としては初めての経験となりますので、これからいろいろスタートしながら自分もしっかり考えて指導していきたいなというふうに思っています」
「私自身、もう一度フィギュアスケートの基礎をゼロから今見直しているところです」
子どもを教えたりした経験はある。本格的に指導するのは、まさにこれからのこと。そういう意味では、未知数とも言えるが、指導者として思い描く像の断片は、会見での言葉の端々にあった。
指導者としての“覚悟”が見えた受け答え
3つの柱の1つ、育成プログラムについてこのように説明する。
「私が選手のときに理想としていたプログラムというのは、リンクの中でのスケートの練習だけではなく、バレエ、トレーニング、新体操、ダンス、すべてを1つで完結できるような、ほんとうにありがたい環境で練習するということです。それが何よりもスケートのためになるんじゃないかなと思って、今回こういったプログラムを組ませていただきました」
浅田自身、現役時代には多くのコーチに指導を受けてきた。そこで得たのは「愛」だった。
「どのコーチもとっても愛のある方々ばかりだったので、私も愛を忘れないようにこれから指導していきたいなというふうに思っています」
いかなる競技であれ、指導者にとって最終的に最も大切なのは、選手を思う心にほかならない。そこを大切にしたいと言う浅田は、指導者の資質の、根幹をつかんでいるということでもある。
あるいはこう語る。
「やはりスケートを好きという気持ちでなければ努力はできないと思いますので、スケーターの皆さんには、やはり、どんなことがあってもスケートが好きという気持ちだけはなくさないように指導していきたいな、と思っています」
さらに、プロフィギュアスケーターとしての活動との兼ね合いを尋ねられると、先々については「ハーフハーフです」とするが、まずは「アカデミーに全力集中で進んでいきたいです」と言う。そこにも、指導者としてどうスタートを切り、進んでいきたいか、覚悟がうかがえる。

