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中谷潤人に大善戦・西田凌佑は「仮に井上尚弥と戦っても、なかなか倒されないはず」元王者・伊藤雅雪はプロモーター目線で「また西田を見たい」 

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杉園昌之

杉園昌之Masayuki Sugizono

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photograph byNaoki Fukuda

posted2025/06/12 17:03

中谷潤人に大善戦・西田凌佑は「仮に井上尚弥と戦っても、なかなか倒されないはず」元王者・伊藤雅雪はプロモーター目線で「また西田を見たい」<Number Web> photograph by Naoki Fukuda

得意のアウトボクシングではなく接近戦を選び、堅いガードで中谷潤人と熱戦を繰り広げた西田凌佑。元王者・伊藤雅雪は西田の戦いを高く評価した

うまいよりも堅いガードが機能した

 中谷陣営の思惑を少し狂わせたのは、西田の崩れないガードだ。どれだけ強く殴られても、体が大きくぐらつくことはなかった。結果的には肩と腕を打たれて、ダメージを蓄積することになったものの、一方的に打たれる展開にはなっていない。伊藤はジェスチャーを交え、顔の前に置いたガードがいかに機能していたかを力説する。

「僕の印象では、“うまいガード”というよりは“堅いガード”。潤人の多彩なパンチも見えていたと思います。キャッチしていましたから。途中で余裕が出て、少しガードを下げるシーンもありました。まともなクリーンヒットは5回の左ストレート一発くらいじゃないですか。あれ以外は致命打になるようなパンチは、ほとんど被弾していないはずです。

 正直、西田が倒れる感じはしなかった。仮に井上尚弥と戦っても、なかなか倒されないと思います。“ブラックホール”という異名がつくのも分かります。相手を飲み込んでしまうんですよ。もしも脱臼していなければ、勝てなくても、耐えて判定までは行った可能性はあるのかなって」

見ていた選手は、西田とはやりたくないと思ったのでは

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 特別に華があるタイプではないが、とにかく頑丈でタフ。地域タイトルマッチで元世界フライ級王者の比嘉大吾を下し、井上尚弥と対戦したエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)からIBF世界バンタム級王座を奪取した実力は本物だった。

「誰と戦っても、なかなか崩れないと思います。見ていた選手たちはみんな、西田とはやりたくないな、と思ったんじゃないですか。堤聖也、武居由樹といったバンタム級の世界チャンピオンと戦っても、どっちが勝つか分からない試合になる気がします。(中谷戦の)3、4ラウンドのペースが12回まで続く可能性があるので。中谷潤人が“普通のチャンピオン”ではなかっただけです。今回は負けましたが、評価は下がらないと思います」

【次ページ】 西田コールを生んだ善戦

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