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“日本人が知らない”オリオールズ菅野智之の米国リアル評「凄い球を投げるわけじゃない」35歳はなぜ打たれない? 本人は「めちゃくちゃ楽しいですよ」
text by

山田結軌Yuki Yamada
photograph byGetty Images
posted2025/06/08 11:04

安定した投球を続けている菅野
「移動中とか飛行機の中とか家にいる時もなるべくボールを触っています。枕元とか(部屋の)至るところにボールは置いてあります」
自宅のリビング、ソファの上など手を伸ばせばボールをつかめるようにMLB球がある。フィールドを離れても生活の一部にする。一緒に過ごす時間を長くすることで大切な“ビジネスパートナー”と仲良くなれるように努めている。
自分への“合格点”を、やや甘めに
もう一つは精神面だ。巨人というビッグクラブでエースを張り、成績の浮き沈みも経験したことが、強みとして生きている。自分自身のコンディションやチーム状況の波、さまざまな物事にぶつかった時、それを受け入れる度量や器が備わっているのだ。
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「考えてもどうしようもないことは、もう考えないようにしよう、と。僕がいくら文句を言ったところで、ボールなんか変わるはずもない。できることをやろうっていうのが僕の中でのスタンス。すべて受け入れる覚悟でこっちに来ている」
好投の要素には、己に対して優しさ、があるのかもしれない。誰しも若い頃は、尖り、時に荒々しく、掲げる理想は高くなる。オールドルーキーは、それらを一通り経験してきた。90点の投球でも、マイナスの10点分を悔やみ、責め、反省する。確かにそれもレベルアップには大切だ。そんな過去を経て、今の菅野は自身への合格点の基準をあえて、やや甘めに設定している。