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原辰徳に訴えた「監督お願いがあります」「…わかったよ、しつこいな」巨人“あの代走のスペシャリスト”起用ウラ側…原監督の巨人はなぜ強かったのか?
posted2025/06/07 11:01

巨人監督として17年間指揮し、3連覇2度を含む9度のリーグ優勝、3度の日本一に導いた原辰徳
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Takuya Sugiyama
かつて巨人の監督として9度の優勝を経験した原辰徳。その傍らで支えたヘッドコーチの岡崎郁が、監督室の裏側で繰り広げられた“若大将”との攻防を明かした。
「原監督には『話す時は結論から言え』と教えられました。監督は即断即決しないといけない立場ですからね。いいなと思えば、理由は聞かれない。意に反していると、初めて『なんで?』と言われます」
2011年、巨人は「飛ばない統一球」の影響で打線が機能せず苦戦。岡崎ヘッドは打開策として代走のスペシャリスト・鈴木尚広の1番起用を進言したが、原監督は鈴木の打撃を信頼できずに渋った。諦めきれない岡崎は1カ月で計3回、同じ提案を繰り返した。
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「監督お願いがあります」
「なんだ?」
「尚広、1番で使いましょう」
「……わかったよ、しつこいな」
5月14日の広島戦で「1番センター・鈴木尚広」が実現すると、チームは好転。この采配が当たると、原監督は珍しく岡崎を褒めた。
「お前もたまには当たるな」
「お前は何のサイン出したんだ!」
普段は穏やかな原監督も、野球に関しては別人だった。試合後、監督室で2人きりになると、時に激しく叱責することもあった。ある試合でのサイン伝達ミスを巡り、「お前は何のサイン出したんだ!!」と原は怒り狂った。
岡崎は指導方針を確認するため、翌日勇気を出して尋ねた。激論の末、両者の主張は「痛み分け」に終わった。
原監督は、すでにチームで共有されていた決定事項を平然と取り消すこともあった。
「郁。俺たちはな、『あの時こう言ったから』なんて拘っていたら、前に進めないんだよ。今、一番良いと思ってる作戦がベストなんだ」
「それまでは、一度決めたら貫き通すべきだと思っていた。でも、間違いと気づいたら、変えるべきだと。意地なんかいらないって。当たりも外れもあるけど、違和感を持った作戦で外れるのが許せないんでしょうね。ベストな選択での失敗なら、後悔しない」(岡崎)
岡崎は時に「イエスマンヘッド」と陰口を叩かれたが、実情は違った。現役時代からの昵懇の仲だからこそ、素直に直言できたのだ。2024年、巨人の指揮は阿部慎之助に引き継がれ、原と阿部の野球観の違いは何なのか——その詳細は本編で語られている。
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この文章の本編は、以下のリンクからお読みいただけます。

