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中日・根尾昂が悩む姿「400~500球を2日連続で…」「これは止めないとダメだ」ドラゴンズ浅尾拓也コーチ40歳が明かす「投手転向、根尾との3年間」 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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photograph byHirofumi Kamaya

posted2025/06/07 11:05

中日・根尾昂が悩む姿「400~500球を2日連続で…」「これは止めないとダメだ」ドラゴンズ浅尾拓也コーチ40歳が明かす「投手転向、根尾との3年間」<Number Web> photograph by Hirofumi Kamaya

中日ドラゴンズ、浅尾拓也・投手コーチ(40歳)。現役引退翌年の2019年から二軍の投手コーチを務め、今季から一軍に昇格

「ネットに向かっての投球なので負担は少ないですけど、それをやった次の日にさらに投げるみたいなことも彼はしていたので、流石に止めないといけないと思って。

(止めたときは)本人は『そりゃそうですよね』という反応でした。とにかく投げて感覚を出すというのをやりたかったみたいです。不安で不安で、という気持ちは僕にも分かる。でも間違った方法で練習し続けると変な癖がついてしまうこともある。特に根尾に関しては、どんなことに悩んでいるのか、何を意識してやっているのかという話をしっかり聞いたうえで見守るようにしていました」

「コーチとして“作りたくない選手”」

 コミュニケーションを大事にしながらも、教えすぎない。そんな根尾との関係性は今も変わらない。今シーズン、4月末に一軍に合流してきた時は久々に見たストレートの速さに驚いたという。

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「今までは球速の数字通り、という感じだったんですけど、それより球が速く、強く見えるようになりましたね。それは何でなのか、と聞いたら根尾自身が遠投を増やしたと言っていた。『体を大きく使えるようになりました』って。『僕は、そうか、じゃあそれ続けようね』って、それぐらいですね。(二軍で)良かったから上がってきてたのだから、僕はそのまま継続してほしいと思っています」

 浅尾投手コーチの現役時代はよく、「太く短い野球人生」と言われる。華奢な体から最速157kmのキレのある球を投げ込み、来る日も来る日もマウンドに上がった。2010年にはプロ野球記録となる25試合連続ホールドポイントをマークするなど72試合に登板。翌11年は79試合に登板し2年連続で最優秀中継ぎ投手賞を獲得するとともにリーグMVPの頂にも立った。

 しかしその後、運命は反転する。2012年ごろから右肩痛に悩まされ、マウンドが遠のく日々。ストレートの球速はどんどん落ち、2018年に引退を決断した頃には140kmがやっとという状態だった。黄金期の「勝利の方程式」の一角として過度な連投など酷使されたことが怪我の原因になったという周囲の声もあるが、浅尾コーチ本人は「悔いは本当にない」と言い切る。しかし、逆に自身がコーチとしてブルペンを任される立場となった今、こんな思いもある。

「自分に関して後悔がないという思いは今も変わらないです。ただ、コーチとして“太く短く”という選手は作りたくない。1年でも長くやって欲しいと思っています」

 40歳になった「悲劇の右腕」は今、若い選手たちとどう向き合っているのか。

 続きでは、浅尾コーチが落合博満監督との秘話を語る。

<続く>

#2に続く
落合博満「浅尾で打たれたらしょうがない」中日・浅尾拓也コーチ40歳の今…忘れられない落合監督のコメント「落合さん、僕には何も言わないんです」

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