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中日・根尾昂が悩む姿「400~500球を2日連続で…」「これは止めないとダメだ」ドラゴンズ浅尾拓也コーチ40歳が明かす「投手転向、根尾との3年間」
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佐藤春佳Haruka Sato
photograph byHirofumi Kamaya
posted2025/06/07 11:05

中日ドラゴンズ、浅尾拓也・投手コーチ(40歳)。現役引退翌年の2019年から二軍の投手コーチを務め、今季から一軍に昇格
投打共にその才能は折り紙つきだ。シーズン中に投手挑戦を言い渡された22年はすぐに一軍のマウンドで打者を抑えてみせるなど、潜在能力の確かさを示した。しかし、そんな根尾も転向2年目の2023年には、大きな壁に当たった。投球フォームのバランスを崩してボールのコントロールがつかなくなってしまったのだ。二軍での初登板は5月末までずれ込み、実戦では四球を連発。その度に投球フォームを作り変えてやはり安定感を欠く、という負のスパイラルに陥った。
「投げるボールが、キャッチャーとは全然違うところに行くようなことも一時期あって……かなり行き詰まっていたんじゃないかなと思います。本人は言わないですけどね」
400~500球を2日連続「止めないと…」
悩む根尾に、浅尾コーチは問いかけたという。
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「自分で考えたいのか、こちらからアドバイスした方がいいのか、どっちがいい?」
根尾の答えはこうだった。
「今は自分で考えてやってみたいです」
甲子園で春夏3度の全国制覇を果たした高校時代から、常に注目を浴びてきた。溢れる才能を何とか開花させたいという思いから、指導者や先輩、OBなど周囲からは多くの助言が寄せられ、評論家やファンなど外野の声も大きくなっていく。
「色々な人から言われて訳がわからなくなってしまうことも絶対にある。だから自分はそれを一時期やめようかなと思って見守っていました。ただ、見ていく中でこれだけはちょっと違うなと思った時は、こちらから言わなければいけない。それがどう見ても理にかなっていないやり方だったり、怪我につながる恐れがあるほど練習していたり。彼は投げたがりの選手なので、結構投げているなと思って見ていましたが……」
思わず、ストップをかけたことがある。練習中、ブルペン投球のみならずボール2箱分、400~500球ものネットピッチに熱中していた時のことだ。