サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「まだまだですね、まだまだ」“代表だけじゃない”長谷部誠コーチの本業とは…フランクフルトU-21「ドイツの小さな村の4部戦」現場で直撃!
text by

中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/06/06 11:05
日本代表でのコーチ姿もずいぶんおなじみになってきたが、ドイツではU-21年代のコーチを務めている長谷部誠
アップ時や試合の様子を見ていると、監督やコーチが積極的に大きな声を出して選手へアプローチしているそばで、長谷部は努めて冷静に全体の様子を観察しているようだ。パス練習やボールキープの練習では手を叩きながら声をかけたり、こぼれたボールをすぐに拾いに行ったりと、率先してチームのための仕事をやっている。
まだ学びの時期
「いろんな意味でいまはまだ本当に学びの時期」と話す長谷部は、どこまで指導者としての自分を感じているのだろう。少し考えた後にスッと頭の中をまとめて答えてくれる。
「選手とは全然違う。指導者としての感覚は日に日に感じるようになっています。でも立場的なところでも、監督のように責任をもってやれるかというところはまだまだかなと思います。監督とコーチの違いはあるし、その中でいかに、どれだけ責任をもってやれるかというところが、自分の成長につながるのかなと思いながらやっています」
一度は廃止されていたセカンドチームで
ADVERTISEMENT
そんな長谷部にフランクフルトが期待しているのはどんなことなのか。クラブには費用対効果への疑念からセカンドチームを廃止した過去があるが、育成からトップチームへ昇格してくる選手が一向に出てこないことに危機感を持ち、22年からU-21としてセカンドチームを復活させている。そんななか、育成ダイレクターのアレクサンダー・リヒターが指導者に求めるべきポイントとして《プロフェッショナルさの伝授》をあげているのが興味深い。
「プロ選手として本気でキャリアを考えたいなら、何をすべきかを明確に知ることが必要になる。プロフェッショナルさと日常から向き合えるかどうか、だ。例えばスマホとの距離感。若い選手が練習開始直前までスマホでSNSをチェックしていたり、投稿しているのを禁止したりはしないが、なぜよくないかを説明することは重要だろう。いまの時代スマホへの依存度は相当高いし、それが危険になることを周りの大人は正しく理解しなければならない」

