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獅子の遺伝子BACK NUMBER
36歳、戦力外通告に「まだやれるよなぁ…」巨人にFA移籍→楽天に金銭トレード→西武復帰…炭谷銀仁朗「僕はいまだに143試合出るつもり」20年目の野球哲学
text by

市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byWataru Sato
posted2025/06/03 11:04
ベテラン捕手として若い投手陣を引っ張る炭谷
ピッチャーに関しても変化球は平均以下でも、ストレートの球威だけは突出しているなど、ゆくゆくは“化ける”選手が多いと語る。そして6シーズンぶりに帰ってきたライオンズを「以前、在籍していたときとは全く違うチーム。4球団目ぐらいの感覚です」と表現する。顔ぶれもカラーも変わった現在のライオンズも、また炭谷にとっては新しい出会いの一つだ。
「人生にはタイミングというものがある」
「僕は人生にはタイミングというものがあって、自分にバチっとハマる指導者に巡り合うか、どういう人とどういうタイミングで出会うかが野球人生において大事やと思っているんです。僕の場合は運もよかった。西武にドラフトで獲得してもらって、1年目から使ってもらうことができました。それは監督がキャッチャー出身の伊東勤さんやったからやと思うし、渡辺久信さんにはレギュラー捕手として起用してもらった。
楽天を戦力外になったときもGMだった久信さんに声をかけていただいた。巨人で原(辰徳)さんの元で野球ができたのも良かったし、巨人という常に勝利を求められ、選手の生存競争が厳しいチームでプレーできたことも学びになりました。これから強くなろうという意欲がある楽天というチームでプレーできたのも糧になったと思います」
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2023年、東北楽天で戦力外通告を受けたときには、そういった、これまで良いタイミングで出会った人たちに一人ひとり連絡をしたという。
戦力外に「まだやれるよなぁ」
「ジャイアンツやほかの球団も含めて、ですね。クビになったので、もしかしたらこれで野球人生が終わるかもしれないじゃないですか。だから『ありがとうございました』という連絡はしました。まぁ、それが『声をかけてください』というアピールになったかどうかはわかりませんが(苦笑)」
戦力外を告げられた瞬間も、全く不安はなかった。
「現役を続けられる確約もないし、できるかどうかもわからなかったのに、全然不安はなかったですね。意外とケロっとしていました。もちろん現役を続けるつもりで、漠然と『まだやれるよなぁ』って。『できる』って思っていましたね」


