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「五輪、世界陸上代表を本気で作る」駒澤大“箱根駅伝4連覇”の大八木弘明総監督は最強チーム“Ggoat”をなぜ始めたか「田澤(廉)がきっかけでした」
text by

佐藤俊Shun Sato
photograph byShiro Miyake
posted2025/05/31 11:07

大八木弘明総監督が立ちあげた精鋭チーム“Ggoat”とは何なのか。その目標、参加レベル、内情……すべてを合宿地で直撃した
大学で指導していた時は、50人の上から下のレベルまで全員をずっと見ていたので大変でしたし、なかなかつらいものがありました。でも、Ggoatではレベルの高い選手だけですし、私が求めるタイムをクリアして進んでくれるので、すごく楽しいです。
選手に対しては基本的に学生も実業団の選手と同じ大人として見ています。とはいえ、圭汰はまだ学生で落合は1年生ですからね。競技では大人として扱っていますが、人間性を成長させていかないと強くはなれないので、人間力を高めるための教育はしています。
実業団の田澤と芽吹、篠原には細かいことは言いません。ひとりの人間、大人として認めているので、自分でできることは自分でやってもらっています。
総監督になって丸くなった?
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——選手は、総監督は丸くなりましたといっていました。
(笑)。まぁ怒らなくなりましたね。大学は教育ですし、躾が大事なのでうるさく言っていましたし、怒ることもありました。Ggoatでは、自分で考えて行動してもらっています。世界を目指すには自分自身、本気になって考えて取り組まないと達成できませんから。
——総監督は選手にとって、どういう存在だと考えていますか。
まぁ親父みたいなもんですよ(笑)。チームの選手たちには、目標を達成しないと褒めないぞって言っていますが、時には厳しく言ったり、慰めてあげたり、臨機応変にうまくコミュニケーションを取りながらやっています。ごくごく自然に接しているので、みんな居心地がいいんじゃないですかね。
大八木総監督の指導を受けて7年目になる田澤をはじめ、鈴木、篠原、佐藤らはそれぞれ結果を出し、競技者として大きな成果を残しつつある。
——田澤選手は学生時代から成長を感じていますか。
田澤は、大学時代は自分の思っていることをそのまま吐き出す感じがあり、反発することもありました。でも、今は社会人になり、人のためにという思いが芽生え、恩返しをしたいという気持ちがあるようで、人間的に成長しましたね。
世界へもオレゴン(2022年)とブダペスト(2023年)の世界陸上に連続で出てくれました。ただ、ブダペストの翌年に疲労が出て怪我につながり、1年ぐらい長引いていますが、今は練習がスタートできているので、これから立て直していかないといけないと思っています。