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「中谷潤人が有利」は本当か? 格上に全勝の西田凌佑“じつは驚異的”な経歴「どう見ても強そうじゃないやん。でも試合だとやりよる」会長の証言 

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曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

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photograph byHiroaki Finito Yamaguchi

posted2025/05/30 11:08

「中谷潤人が有利」は本当か? 格上に全勝の西田凌佑“じつは驚異的”な経歴「どう見ても強そうじゃないやん。でも試合だとやりよる」会長の証言<Number Web> photograph by Hiroaki Finito Yamaguchi

6月8日、東京・有明コロシアムでバンタム王座統一戦に挑む中谷潤人(左)と西田凌佑

 とはいえ過去の相手と比べても、中谷潤人はあまりにも強大だ。陣営によると、大森戦や比嘉戦の前は、勝てるという確信があった。ロドリゲス戦も「微妙だけど勝算はある」と感じていた。しかし中谷については、「勝つ可能性があるかわからない」というのが武市トレーナーの率直な見立てだった。

「そういうレベルの相手なので。こうやったら勝てる、というものはない。普通に考えれば一枚も二枚も中谷選手が上手。僕らは王者でもBサイドなんです。ベルトがかかっているけど、失うものは何もない」

 六島ジムの枝川孝会長も、冗談めかしてこう語った。

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「10勝(西田)と30勝(中谷)。3倍やで? 1ラウンドで終わるかもしれへん」

 武市トレーナーが合いの手を入れる。

「試合数は向こうが3倍だけど、こっちはほとんど判定。向こうは早期KOばかり。ラウンド数ではそんな変わらんと思う。誰か調べてみてください」

 2人の言葉を聞きながら、西田は困ったような笑みを浮かべていた。リングの上とはまるで違う、いかにも善良そうな表情だ。だが、この“Bサイドの世界王者”は、笑顔の裏に強烈な勝利への執着心を隠し持っている。井上尚弥vs.中谷潤人というボクシング界の大きな流れを本気でぶち壊そうとしている人間は、いま、日本に西田しかいない。

 枝川会長の言葉が耳に残る。

「どう見ても強そうじゃないやん。でも、試合だとそこそこやりよる。ナゾやねん」

 西田凌佑の正体は、まだわからない。

前編とあわせてお読みください〉

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「井上尚弥vs中谷潤人」をぶち壊せるか? 28歳西田凌佑「負けると言われたほうがいいですね」一度は大手企業に就職…“奇妙な世界王者”の正体

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