ボクシングPRESSBACK NUMBER

「最初の数ラウンドは私のミスだった」敗者・中谷潤人トレーナーが告白した“2つの誤算”…「10Rのバッティングではない」井上尚弥の“想定外だった”右アッパー

posted2026/05/09 11:05

 
「最初の数ラウンドは私のミスだった」敗者・中谷潤人トレーナーが告白した“2つの誤算”…「10Rのバッティングではない」井上尚弥の“想定外だった”右アッパー<Number Web> photograph by TOKYO SPORTS/AFLO

12ラウンドの死闘となった井上尚弥vs中谷潤人。左目から出血しながら戦う中谷

text by

NumberWeb編集部

NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web

PROFILE

photograph by

TOKYO SPORTS/AFLO

井上尚弥との激闘に敗れた中谷潤人。その戦術面を担当するのが63歳の名トレーナー、ルディ・エルナンデスである。来日したルディの取材を続け、見えた中谷陣営の“2つの誤算”とは?【全3回の3本目/第1回第2回も公開中】

◆◆◆

7R直後「もっと行け、手を出せ!」

 誤算を考えるうえで重要な音声がある。それは試合の配信で声が拾われていた、ルディの2つの指示である。

 ひとつは7ラウンド終了後、もうひとつは10ラウンド終了後だ。

ADVERTISEMENT

 7ラウンド終了後、中谷のコーナーでルディの声が響いた。

「もっと積極的に行け。分かるか。もっと手を出し始めるんだ」

 これに海外DAZNの英語実況も反応した(※この試合は海外ではDAZNで配信された)。

「もっと手を出し始めろ、とルディ・エルナンデスが言っています。自分たちがポイントで後れを取っていると考えているのでしょう」

 そして、さらに具体的な指示が続く。

「イノウエの胸を狙え。胸を狙って押し込め。彼はパンチを打ってくるだろう。でも胸を狙え。そうすれば止められる」

 顔ではない。アゴでもない。胸だ。この指示に、ルディの井上攻略プランの一端が見える。井上の頭を狙えば、見切られる。アゴを狙えば、外されたあとに打ち終わりを取られる。だが胸なら、少なくとも後退を止められる。井上の出入りのリズムを崩せる。

 やはりルディの狙いは、いきなり井上を倒すことではなかった。まず井上の動きを止めることだった。

 そしてこの指示は一度、流れを変えた。8ラウンド以降、中谷は少しずつ手数を増やし、9ラウンドには右アッパーからコンビネーションを見せた。海外実況席の声色も変わる。

「ナカタニ、いい動きです。この試合で最高のラウンドかもしれません」

10R直後「近づきすぎるな!」

 10ラウンド開始直後には、英語実況が「中谷潤人はギアを上げてきた」と語り、英語解説はこう言った。

「イノウエは少し重く見えます。立場が逆転しています」

【次ページ】 第1の誤算「最初の数ラウンドは私のミスだった」

1 2 3 NEXT
#中谷潤人
#井上尚弥
#ルディ・エルナンデス

ボクシングの前後の記事

ページトップ