ボクシングPRESSBACK NUMBER
「最初の数ラウンドは私のミスだった」敗者・中谷潤人トレーナーが告白した“2つの誤算”…「10Rのバッティングではない」井上尚弥の“想定外だった”右アッパー
posted2026/05/09 11:05
12ラウンドの死闘となった井上尚弥vs中谷潤人。左目から出血しながら戦う中谷
text by

NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
TOKYO SPORTS/AFLO
◆◆◆
7R直後「もっと行け、手を出せ!」
誤算を考えるうえで重要な音声がある。それは試合の配信で声が拾われていた、ルディの2つの指示である。
ひとつは7ラウンド終了後、もうひとつは10ラウンド終了後だ。
ADVERTISEMENT
7ラウンド終了後、中谷のコーナーでルディの声が響いた。
「もっと積極的に行け。分かるか。もっと手を出し始めるんだ」
これに海外DAZNの英語実況も反応した(※この試合は海外ではDAZNで配信された)。
「もっと手を出し始めろ、とルディ・エルナンデスが言っています。自分たちがポイントで後れを取っていると考えているのでしょう」
そして、さらに具体的な指示が続く。
「イノウエの胸を狙え。胸を狙って押し込め。彼はパンチを打ってくるだろう。でも胸を狙え。そうすれば止められる」
顔ではない。アゴでもない。胸だ。この指示に、ルディの井上攻略プランの一端が見える。井上の頭を狙えば、見切られる。アゴを狙えば、外されたあとに打ち終わりを取られる。だが胸なら、少なくとも後退を止められる。井上の出入りのリズムを崩せる。
やはりルディの狙いは、いきなり井上を倒すことではなかった。まず井上の動きを止めることだった。
そしてこの指示は一度、流れを変えた。8ラウンド以降、中谷は少しずつ手数を増やし、9ラウンドには右アッパーからコンビネーションを見せた。海外実況席の声色も変わる。
「ナカタニ、いい動きです。この試合で最高のラウンドかもしれません」
10R直後「近づきすぎるな!」
10ラウンド開始直後には、英語実況が「中谷潤人はギアを上げてきた」と語り、英語解説はこう言った。
「イノウエは少し重く見えます。立場が逆転しています」


