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「イノウエに判定勝ちする」敗者・中谷潤人の“意外なプラン”はどこで狂ったのか…「なぜ急に問題になるんだ?」前日計量でトレーナーが井上尚弥陣営に見せた“不信感”
posted2026/05/09 11:04
12ラウンドの死闘となった井上尚弥vs中谷潤人。中谷陣営が語った“2つの誤算”とは?
text by

NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Hiroaki Finito Yamaguchi
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ルディが最も恐れたのは「スピード」
日本メディアの前では多くを語らなかったルディ。しかし、『Ring』誌の記事(4月28日付)ではマヌーク・アコピアン記者に対して、より戦術的な言葉を残していた。
まずこの記事でルディは「この試合は51対49でイノウエが有利だ」と語っている。それは圧倒的不利と見られていた下馬評に比べて、勝利の可能性を感じているように思えた。
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そして「私たちの最大の難題」として挙げたのは、井上尚弥のパワーではなかった。名トレーナーが最も警戒していたのはスピード、そして目だった。同記事で具体的にこう語っている。
「最も難しい課題は、イノウエのスピードだ。彼は驚異的なスピードと優れた目を持っている。彼が見たところには必ずパンチが当たる。それこそが彼を偉大にしている。ジュントに顔でパンチをブロックさせるわけにはいかないだろ」
ルディは「イノウエは一撃で相手を眠らせるジュリアン・ジャクソン(※80~90年代に活躍した“史上最強のパンチャー”)のようなタイプではない。パンチを蓄積させて相手を仕留めるタイプだ」とも分析している。つまりルディにとって最も避けたいのは、井上に中谷の動きを見切られ、見えない角度から正確に打たれ、ダメージとポイントを積み上げられることだった。
そして「さまざまなバージョンのジュントを準備してきた」と明かしている。「ジュントの右手は左手と同じくらい危険だ」「必要ならスイッチしてオーソドックスでも戦えるように準備している」と続け、中谷の現時点での武器をすべて持ち込むつもりだと明かした。
これらの言葉は日本メディアの前で手の内を明かさないルディとは別人のようだった。もちろん、試合展開の詳細なプランを明かしているわけではない。それでも、ルディの言葉にその一端が見えた。
じつは中谷が想定していた「僕は判定で勝つ」
そして、その勝ち筋はルディだけが描いていたものではなかった。中谷本人もまた、試合前に同じ方向を見ていた。『Ring』誌の記事(4月29日付)で、中谷はこう語っている。

