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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「中谷潤人が有利」は本当か? 格上に全勝の西田凌佑“じつは驚異的”な経歴「どう見ても強そうじゃないやん。でも試合だとやりよる」会長の証言
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曹宇鉉Uhyon Cho
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi
posted2025/05/30 11:08

6月8日、東京・有明コロシアムでバンタム王座統一戦に挑む中谷潤人(左)と西田凌佑
2019年9月にプロテストを受け、10月にはタイ・バンコクでデビュー戦に勝利。12月には2連勝を飾った。練習時間を確保するために、新卒で入社したパンメーカーを辞めて父の会社に籍を置いた。
「学生時代にやり切れなかった。その気持ちでプロの世界に入ったので、もうやりたくないと思うくらい練習しようと。父に雇ってもらうのもイヤでしたし、とにかく早く成功したかった。1回でも負けたらボクシングはやめる。3戦目の前もそう思っていました」
誰もが予想しなかった伏兵・西田の勝利
コロナ禍で試合間隔が空き、迎えた2020年12月。西田はプロ3戦目で、世界挑戦経験を持つ元日本バンタム級王者の大森将平と対戦した。言うまでもなく、プロとしての経験値の差は歴然だ。試合前、西田の勝利を予想する者はほとんどいなかった。
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西田は試合開始のゴングと同時にラッシュを仕掛け、大森の出鼻をくじいた。その後もサウスポー同士のジャブの刺し合いを制し、大森の左フックや左ストレートをことごとく空転させる。終盤には上下のパンチを巧みに打ち分けて明確なダメージを与え、判定3-0の完勝。猛練習が実を結び、スタミナでも世界挑戦経験者を圧倒した。
ボクサーとして生きる道がつながった。西田の次戦は元WBCフライ級王者の比嘉大吾とのWBOアジアパシフィックバンタム級タイトルマッチ。3戦目で大森に勝利したとはいえ、相手は世界戦を含めて15試合連続KOの記録を持つあの比嘉だ。会場は“アウェイ”の沖縄コンベンションセンター。挑戦する西田の評価は、ここでも当然のBサイドだった。だが、参謀の武市トレーナーには確信があった。
「うちのジムのストロング小林佑樹がWBOアジアのタイトルを比嘉選手に取られた試合を見て、西田なら絶対に勝てると思ったんです。サイドに回って、あの突進をいなせるはずだと。このチャンスを逃す手はない。そう思いました」