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「原巨人、野村ヤクルトと同等の黄金期」落合中日が作った“現代プロ野球戦術の礎”とは「岩瀬仁紀と浅尾拓也、アライバが象徴だった」

posted2025/05/31 17:02

 
「原巨人、野村ヤクルトと同等の黄金期」落合中日が作った“現代プロ野球戦術の礎”とは「岩瀬仁紀と浅尾拓也、アライバが象徴だった」<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

計4回のリーグ制覇を成し遂げた落合博満監督時代の中日。現代野球にも大きな影響を与えた戦術とは

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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Naoya Sanuki

セ・リーグの老舗球団・中日ドラゴンズ。球団史を振り返りつつ、成績で見るベストナインを選んでみると、巨人や阪神とひと味違ったドラマ性が見えてくる。〈NumberWeb特集:令和の中日ドラゴンズ/全3回。第3回につづく〉

 第1回は中日の約90年の歴史を駆け足で見てきたが、その中で落合博満監督が率いて2004年から11年の8シーズンは、他の監督の時代とは一線を画するものだったと言える。

8年間すべてでCS進出した安定ぶり

 ここでは現代プロ野球戦術の礎ともなっている「落合中日の8年間」について、さらにクローズアップしたい。

 改めて、中日の9回のリーグ優勝と、2位から下克上で1位になった2007年の成績を並べてみよう。

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1954年(天知俊一)86勝40敗4分
率.683/2位→巨人 日本一
1974年(与那嶺要)70勝49敗11分
率.588/2位→巨人
1982年(近藤貞雄)64勝47敗19分
率.577/2位→巨人
1988年(星野仙一)79勝46敗5分
率.632/2位→巨人
1999年(星野仙一)81勝54敗0分
率.600/2位→巨人

2004年(落合博満)79勝56敗3分
率.585/2位→ヤクルト
2006年(落合博満)87勝54敗5分
率.617/2位→阪神
2007年(落合博満)78勝64敗2分
率.549/1位→巨人 日本一
2010年(落合博満)79勝62敗3分
率.560/2位→阪神
2011年(落合博満)75勝59敗10分
率.560/2位→ヤクルト

 1954年から99年までの5回の優勝は、年数が開いている。この間、中日は「思い出したように優勝していた」に過ぎなかった。投打の陣容も大きく変わっていた。そしてこの5回の優勝はすべて巨人が2位。巨人との優勝争いになると中日は燃える習性がある。

 それに対して「落合中日」は、セの他球団との競り合いを制して8年間で4回優勝、8年すべてAクラスで、2007年に始まったクライマックスシリーズ(CS)にもすべて進出した。端的に言えば、チーム作りに「明確なコンセプト」があったために、黄金時代を築くことができたということだろう。

森西武、原巨人、野村ヤクルトの黄金期と比較すると

 8年間の「黄金時代」を、他チームの「黄金時代」と比較しよう。ドラフト制度導入以前は、チームの戦力格差が大きく、巨人、南海、西鉄、圧倒的な勝率を長年続けたチームが存在した。これは除外し、巨人V9以降で同一監督の連続する在任期間で、4回以上優勝したケースを「黄金時代」と規定する。全部で6例ある。優はリーグ優勝、日は日本一、位はこの期間の平均順位。

巨人/川上哲治(1965~73/9年)
優9回、日9回
703勝449敗40分 率.610/1.00位

西武/森祗晶(1986~94/9年)
優8回、日6回
673勝438敗59分 率.606/1.22位

巨人/原辰徳(2006~15/10年)
優6回日2回
795勝595敗51分 率.571/1.88位

中日/落合博満(2004~11/8年)
優4回、日1回
629勝491敗30分 率.562/1.63位

広島/古葉竹識(1975~85/11年)
優4回、日3回
720勝585敗125分 率.552/2.27位

ヤクルト/野村克也(1990~98/9年)
優4回、日3回
628勝552敗7分 率.532/2.67位

【次ページ】 岩瀬と浅尾が象徴する鉄壁リリーフ陣

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