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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「取材はほぼゼロ」阪神で出場機会が激減、自身初の開幕2軍のナゼ…「それでも腐るような雰囲気が全くない」記者を驚かせた梅野隆太郎34歳の今
posted2026/05/11 17:01
自身初の開幕2軍から、1軍昇格を果たした阪神・梅野隆太郎(34歳)の今
text by

佐井陽介Yosuke Sai
photograph by
Sankei Shimbun
◆◆◆
5月1日、午後3時過ぎ。男は番記者を1人も引き連れることなく、甲子園の室内練習場からクラブハウスへと続く階段をゆったりと上がってきた。
阪神はこの日から本拠地で巨人との3連戦に突入する。その初戦を前にした野手組の練習は、深夜から朝にかけて降り続いた雨の影響もあって室内で行われた。3時間後に「伝統の一戦」が迫っているタイミング。報道陣からすれば、練習後のぶら下がり取材は試合原稿用のエピソードを入手する最後のチャンスでもある。それなのに、背番号2へのマークは極めて薄い。
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室内練習場の出口からクラブハウスの入り口までごったがえす数十人の阪神担当記者が、巨人戦が始まる直前にもかかわらず、誰1人として彼の背中を追いかけない。数年前は想像もできなかった光景である。元虎番でもあるこちらが少しばかり驚いていると、梅野隆太郎は落ち着いた口調で現状を明かしてくれた。
「1軍に上がってからも、何か節目のタイミングでもない限りはなかなか取材されませんよ。2軍にいたときも練習後の取材はほぼゼロと言ってもいいぐらいでした。ホームランを打った試合後に囲まれたりしたぐらいだったかな」
でも、それは仕方がないことなので――。そう言わんばかりに、梅野は最後まで明るい表情を貫いたままクラブハウスに姿を消した。
取材対応の後、梅野は苦笑いしていた
34歳の捕手は8日前の4月23日、すでにチームが22試合を消化した時点でようやく1軍に招集されていた。今季初の1軍合流だった。投手陣は直前の横浜スタジアム2試合で計23失点。首脳陣は負の連鎖に終止符を打つため、ベテランの経験値にきっかけを求めたのだろう。
その日、梅野はチームバスを降りて横浜スタジアムの駐車場を歩き始めると、とたんに10人前後の番記者から質問を投げかけられた。ただ、自分の立ち位置は誰よりも本人が一番把握していた。
「今の自分は『とにかく頑張ります』としか言いようがありませんからね」
1軍初合流の記事に必要なコメントを虎番に渡し終えたあと、梅野はそう言って苦笑いしていた。
