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「花は天真爛漫で“陽キャ”でした」逝去から5年…元女子プロレスラー・木村花さんの母が語る“幼少期”「パパ、どこにいるの?」娘に聞かれた日
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伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph byL)Takuya Sugiyama、R)木村響子さん提供
posted2025/05/23 11:01
木村響子さんと、お好み焼きを食べる幼少期の花さん
「パパ、どこにいるの?」花さんから聞かれた日
――花さんの陽キャは、幼少期の生活環境によって育まれたのかもしれないですね。
木村 「シングルマザーで育てられた」って聞くと、1人で寂しくお留守番をしてたって想像されるかもしれないけど、うちの場合は常に周りに人がいたんですね。2人で生活したあとは、お姉ちゃんとその子ども、お母さんとの大家族で暮らしてて、お好み焼き屋さんのお客さんにも人懐っこくて。花はすごく大家族にあこがれてて、「サザエさん」と「ちびまる子ちゃん」は毎週録画してました。
――家のなかにお父さんがいないことを、花さんはどう理解していたんでしょう。
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木村 聞かれたことはありますよ、「花のパパ、どこにいるの?」って。「花のパパはインドネシアっていう国にいるよ。花が大人になったら会いにいこうね」って返すと、「そうなんだ。お手紙も来ないな」って。パパは離婚後にインドネシアに帰ったんですけど、花が4、5歳のころかな、パパから手紙と金のネックレスが届いたんですよ。その手紙をね、ずっと大事に持ってました。
なんでも楽しめちゃう天才
――20代前半を子育てと勤労に注いだ自分の人生を振り返ると、どう思いますか。
木村 出産前は友達と海外に、貧乏旅行をしてたんですね。子どもを産んだあともその友達は旅行を続けてて、私はもうその縁がなくなったなって思ってたんですよ。そしたら友達が、「花ちゃんも一緒に行こうよ」って言ってきて。「えっ!? 2歳だよ」「みんなで行って、みんなでお世話するよ」「いいの?」っていうことで、また安宿に泊まったりの貧乏旅行ですけど、みんなでしたんですよ。2000年になったときの年越しを、タイでしてました。
――その友達がすばらしい!
木村 そうなんです。日本では花はしょっちゅう泣いてたんですけど、旅行中の10日間はぜんぜん泣かなくて。日中走りまわってるから、夜はコテンッてすぐに寝るし。アンコールワットにも行ったんですけど、道路がまったく舗装されてないから、上下左右にものすっごく揺れて、うしろの荷台に乗ってる大人たちはグッタリ。花だけが、ジェットコースターに乗ってる気分なのかキャッキャッてはしゃいで。すごいです、あの感じ。なんでも楽しめちゃう天才なんです。
《インタビュー第2回に続く》

