「生意気なクソ小僧だよ」初登板ノーノーで人生一変「増えた親戚、紅白の審査員に…」元中日・近藤真市「なぜ2年目に異変？」“壊された左肩”の全真相 

「結果論で言うなら、使わなきゃいいじゃないですか」

　1988年。期待された2年目は二桁勝利が目標だった。

　だが、開幕から3連敗を喫し、リズムに乗れない。研究されて、丸裸にされていた。1年目とは違う。自分の調子とは関係なく、結果が出ない。近藤は悟った。これを2年目のジンクスというのか……。

　ある日、打たれてベンチに帰ると、投手コーチの池田英俊から言われた。

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「なんで、あそこで打たれた？」

　投球の意図を問われたり、調子を聞かれるならいい。しかし、結果論でモノを言われることが嫌で仕方なかった。相手もバットを持って打とうと必死になっているプロの選手だ。

「いや、池田さん。僕が先発って、池田さんが決められたんですよね？　結果論でモノを言うなら、使わなきゃいいじゃないですか」

　反抗的な態度で言い返す。まさに「生意気なクソ小僧」だった。

本人曰く、当時は「生意気なクソ小僧だった」 ©Kazuhito Yamada

　強気な性格で打者に向かっていき、研究されても、近藤のストレートとカーブは切れた。徐々に持ち直して、前半戦を7勝6敗で折り返す。10勝まであと三つ。目標が見えてきた。

　そんなとき、左肩に異変が起きた。

整体師の治療中に「バキッ」…“壊された”左肩の真相

「もういいでしょう」
　目の前の近藤はそう言って、私の目をのぞき込んだ。
――えっ？
「もう話してもいいでしょう。ずっと隠していましたよ。チーム内の一部は知っていましたけどね」
――左肩についてですか？
「原因があったんですよ」
　自らの口で真相を明かした。

　整体師がナゴヤ球場にやってきた。星野が昔から世話になっている人だった。体が硬い近藤を治療するため、星野が手配していた。

　治療中に肩から「バキッ」と音がした。これはまずい……。近藤はすぐに異変を感じた。オールスター後の練習で、左腕を思い切り振ってもボールが届かない。おかしい。キャッチャーまでの18.44メートルに到らず、ボールがポトッと落ちる。

「おまえ、何やっているんだ」

　投手コーチの池田が叫んだ。

「いや、腕を振ってもボールがいかないんです」

　何が起こったのか……。近藤には一つしか思い当たることがなかった。

【次ページ】　「やっぱりね、僕の中で、おやじは星野さんなんで」