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ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
「井上尚弥は効いていたと思う。でも…」長谷川穂積がカルデナス戦3つの「なぜ」を読み解く! いつもと違っていた井上の“ディフェンス”
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渋谷淳Jun Shibuya
photograph byGetty Images
posted2025/05/11 11:09
井上は一貫して攻撃的な戦い方を選択し、いつものように相手のパンチをかわさずにブロックでディフェンスして打ち合った
井上は打たれ強くはない。でも…
2019年11月のノニト・ドネア戦で眼窩底骨折した一撃、24年5月のルイス・ネリ戦で喫したダウンはいずれも相手の左フックによるものだった。ダウンのあとの戦いぶりも興味深かった。井上は3回もためらわず攻めていった。
「井上選手は打たれ強くはないと思うんです。ダウンしますから。でも回復力がすごい。そしてポジショニングのうまさであったり、組み立てのうまさだったり、同じパンチを2度ともらわない。そこがすごい。あの3ラウンド、普通だったら警戒してちょっと様子見るんですよ。それが井上選手は警戒しながらも強打をどんどん打ち込んでいった。ハートの強さ、井上選手のすごいところです」
いつもの井上と「ディフェンス」が違っていたわけ
井上はこの試合、一貫して攻撃的な姿勢を崩さなかった。そういうボクシングを選択したことで、ディフェンス面でいつもと違いがあった。
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「これまではバックステップで相手のパンチを外す、触らせないディフェンスをすることが多かったですけど、今回はブロックがメインでした。打ち合えば必然的にそうなります。これも倒さなくちゃいけない、いい試合をしなくちゃいけない、打ち合わなくちゃいけない、という気持ちがあったからだと思います」
現地では公開練習に大勢のファンが詰めかけ、アメリカのメディアからは連日のように取材を受けた。ラスベガスで「モンスター」の実力を証明しなければならない。そうした使命感がパフォーマンスに直結した。
カルデナスへの評価は?
井上はダウン以降、すべてのラウンドを押さえて試合を進めた。それでもカルデナスのカウンターは鋭く、日本のファンはハラハラしながら試合を見つめていたことだろう。長谷川さんの目にカルデナスはどう映ったのだろうか。

