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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「ずっと違和感を抱いて生きてきました…」女子ボクシングのレジェンド・藤岡奈穂子が語った“女らしさ”の葛藤と「同性婚」カミングアウトまでの道
text by

佐藤春佳Haruka Sato
photograph byAFLO
posted2025/05/12 11:01
女子ボクシングの第一人者として走り続けてきた藤岡さん(写真は2017年WBA女子世界フライ級王座決定戦)
藤岡 「ずっと親には言えなかったですね。母は伝えられないまま亡くなってしまったので、父にも言わずにいたら後悔するんじゃないか、という思いがありました。とはいえ、田舎の人間なのでどういう反応をするのか予測がつかなかったし面倒なことになったら嫌だなと思っていたんです」
しかし、話してみると父は拍子抜けするほどあっさり受け止めてくれたのだという。
藤岡 「ずっと支えてきてくれた藍ちゃんなら、という感じだったんですよ。ずっと一人でいるより、藍ちゃんがそばにいてくれれば安心だ、って。打ち明けてからは父との関係性も良くなった。多分、彼女じゃなかったらそうはならなかったんじゃないかなと思います」
「同性婚」への思い…二人の夢
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いずれ同性婚の法制化が整えば入籍を希望している。子供を迎える選択肢については長い時間をかけて話し合い、今の段階では望まないことを決断した。その分、二人には新しい夢ができた。
高橋 「自分たちで育てられない分、たくさんの子供達に何か関われることができたらいいなと思っているんです」
目標は子供が格闘技やスポーツを通じて学べるアカデミーを作ること。そのために一緒に大学院に通ってスポーツマネジメントを勉強しながら準備を進めている。
藤岡 「格闘技ってカッコつけられないし、自分自身と向き合う時間が凄く多い。子供たちが自分の生き方を自分で切り拓いていける、私たちも共に育める場所が作れればいいと思っています」
「幸せの黄色」祝福に背中を押されて…
「THE KNOCK OUT WEDDING PARTY」。そう名付けたパーティーのドレスコードは「黄色」。映画「幸せの黄色いハンカチ」にちなんだ明るい色を身につけた参加者たちが、二人を祝福した。
藤岡 「父も張り切って派手な黄色いネクタイを選んでいました(笑)。田舎から2人の甥も来てくれて子どもたちも沢山いるので、彼らにこそ私たちのあり方を見てもらいたい。周りにもし同じような苦しみを抱えている子がいたら、何もおかしくないよ、って言ってあげられる一人になって欲しいなと願っています」
闘い抜いてきた孤高の道に得た、朗らかなパートナーとの絆。仲間たちの祝福にも背中を押され、チャンピオンは新しい道を歩みだす。〈前編も公開中〉



