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「ずっと違和感を抱いて生きてきました…」女子ボクシングのレジェンド・藤岡奈穂子が語った“女らしさ”の葛藤と「同性婚」カミングアウトまでの道
posted2025/05/12 11:01

女子ボクシングの第一人者として走り続けてきた藤岡さん(写真は2017年WBA女子世界フライ級王座決定戦)
text by

佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
AFLO
女子ボクシングで世界5階級制覇を果たしたレジェンド、藤岡奈穂子さんが、初代シュートボクシング日本女子フライ級チャンピオンの高橋藍(あい)さんと5月11日に都内でウェディングパーティーを開催した。二人へのインタビュー後編は、女子ボクシングの第一人者である藤岡さんがこれまで抱いてきた葛藤と、カミングアウトに至る道のりを聞いた。〈全2回の後編/前編も公開中です〉
二人は2022年9月、トレーニング先のアメリカ・カリフォルニア州オレンジカウンティで結婚した。裁判所で手続きをした後、簡易的な教会で挙式。共に練習後のTシャツ、短パン姿で、手続きをした職員がそのまま牧師を務めるという自然体の挙式だった。
藤岡 「手続き上、“花嫁”と“花婿”を決めなければいけないんですけど、その場でどっちにする? みたいな感じで本当にカジュアルなんです。アメリカでは(二人の関係を)周りにも当たり前のように言えましたし、のびのび過ごすことができました」
「ウェディングパーティー」の思い
昨年末には東京都の「パートナーシップ宣誓制度」を申請したが、日本では二人に「婚姻関係」はなく、未だ名前のつけられない間柄だ。5月11日に「ウェディング パーティー」を開き、パートナー関係を公表したが、そこには高橋さんの特別な思いもあったという。
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高橋 「藤岡さんは、家族とか結婚式というものが自分の人生にはないだろうと思って生きてきたと思う。だからそんな考えをぶち壊してやろうって思ったんです。(公表する)怖さもあったと思うけれど、喜んでくれる人はこんなに沢山いるんだよ、って。パーティーをやる一番の理由は、藤岡さんにそれを見て欲しいからなんです」
女子ボクシング界のレジェンドが戦ってきた苦しみ――。それを知るには、藤岡奈穂子というアスリートが歩んできた道を振り返る必要がある。