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井上尚弥の「右、右、右、右」エグい4連打でカルデナスが崩れ落ち…カメラマンが目の前で見た“決定的瞬間”「苦痛で顔がゆがみ…体がガクッと沈んだ」 

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福田直樹

福田直樹Naoki Fukuda

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posted2025/05/10 11:30

井上尚弥の「右、右、右、右」エグい4連打でカルデナスが崩れ落ち…カメラマンが目の前で見た“決定的瞬間”「苦痛で顔がゆがみ…体がガクッと沈んだ」<Number Web> photograph by Naoki Fukuda

8回TKOでラモン・カルデナスを下した井上尚弥。現地ラスベガスのリングサイドで試合を撮影した福田直樹氏が語る“決定的瞬間”とは

「完封する技術ある」井上尚弥が打ち合いを選んだ理由

 井上選手は今回、単に勝つだけでなく「自分が盛り上げないと」という使命感を持って試合に臨んでいたように思います。完封するテクニックとスピードはある。でも、リスクを承知で激しい戦いを選んだ。そんな印象を受けました。あえてメキシカンでたとえるなら、ダウンを奪われても打ち合いでピンチを乗り越えていく、ファン・マヌエル・マルケスのような……。僕はマルケスのボクシングが大好きなんです。

 ただ、次のムロジョン・アフマダリエフと対戦するときは、完璧に引き締めていくんじゃないかなと想像します。乱打戦で勝つ能力もあるし、カルデナス戦はそれを証明した試合でもありましたが、アフマダリエフ、中谷潤人、あるいはフェザー級のニック・ボールやラファエル・エスピノサなど、これまで以上の強敵と対峙するときは、もっともっと勝負にこだわるはず。そのなかで、モンスターのさらなる進化が見られるかもしれない。そんな期待感を持っています。

 メイウェザーやオスカー・デラホーヤと同じように“本当の主役”として、日本人ボクサーがラスベガスのメインを張った。9年前まで現地で仕事をしていた身からすると、まったく想像もつかなかった光景ですし、本当に感慨深いものがありました。オフィシャルや「ラスベガス・マガジン」の表紙に写真を使ってもらったことも嬉しかったですね。現地の友人たちとも再会できて、楽しい滞在になりました。それもこれも、井上選手のおかげです。

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 そしてやはり、どんな舞台でも井上尚弥のボクシングが面白くないというのはあり得ない。彼の試合を年に4回も楽しめるんですから、我々はすごい時代を生きている。そんなことを再確認させてくれたラスベガスの夜でした。

<前編とあわせてお読みください>

(構成/曹宇鉉)

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