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〈令和7777号〉ロッテ・角中勝也「前夜は焼肉店で…」“7だらけ”のメモリアルアーチ舞台裏「ネガティブ思考が武器」37歳の元首位打者が貫く哲学
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梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2025/05/08 11:02
記念のボールを手にする角中
2010年の日本一はテレビで…
マリーンズが最後に日本一になった2010年、角中は一軍にいなかった。日本シリーズの期間中は、千葉・鴨川で秋季キャンプに参加していた。第7戦、マリーンズがドラゴンズに勝てば日本一という状況。角中は練習後、宿舎のロビーでチームメートとともにテレビ中継を見守った。
「あのときは、球場の隣の室内練習場でバットを振って、ホテルに戻ってロビーでみんなで見てましたね」と、当時を振り返る。
プロ生活でオールスター3回出場、2013年には侍ジャパンとしてWBCにも出場。2012年と2016年に首位打者、2016年には最多安打も獲得。2度のベストナインに選ばれた実績もある。しかし、いまだ優勝経験はない。だからこそ「仲間とビールかけをしたい」「みんなで優勝旅行に行きたい」という想いが、彼の内にある“ネガティブ思考”を力に変えている。
円陣で角中が発したある言葉
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自称ネガティブ思考な角中だが、チームが連敗中だった昨年のある試合前、円陣でこんな言葉をかけて若い選手たちを鼓舞したことがあった。
「チャンスはピンチじゃないよ。チャンスはチャンスだから」
一瞬ハッとさせられるようなこの言葉は、どこか消極的な空気を漂わせていた若手選手たちの心に火をつけたように見えた。
角中は言う。
「例えばですけど、ウチのチャンスはウチのチャンスであって、点はウチにしか入りませんから。相手に点が入ることは絶対にありませんから。だからチャンスはチャンスなんです」
背番号「3」の存在感
さらに熱を込めてこう続けた。
「グラウンドは戦場。生きるか、死ぬかぐらいのギリギリの気持ちで臨む場なんです。だからそういう強い気持ちを持っていつも臨んで欲しいなあと思います」
状況に応じて後輩たちに伝えるメッセージは時には変わる。ボソッと核心を突くような言葉を発するのが角中の魅力である。背番号「3」がマリーンズの中心的存在であるのは間違いない。



