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《ラグビーリーグワン》名門サントリー「まさかの不調」のウラに潜む“日本ラグビーの問題点”「サンゴリアスは良い選手がきてくれるから…」 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2025/04/26 11:03

《ラグビーリーグワン》名門サントリー「まさかの不調」のウラに潜む“日本ラグビーの問題点”「サンゴリアスは良い選手がきてくれるから…」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

プレーオフ争いの当落線上での戦いが続く東京サントリーサンゴリアス。名門チームの苦戦で見えてきた日本ラグビーの「課題」とは?

 日本人の若手選手がそこに対抗する実力をつけるには時間が掛かる。サンゴリアスの小野晃征HCは今季、若手選手について「試合を経験させないと力はつきませんから」と、育成込みで起用している意図を明かしている。

 その成果は着実に出ている。

 象徴的な存在がCTB中野将伍だ。シーズン前半はプレーに波があったが、小野HCは粘り強く起用し続け、プレータイムを与えた結果、シーズン中盤を過ぎたころから急激に覚醒。日本人選手が並ぶサンゴリアスBKにあって突破役としてだけでなく、外のスペースを活かし、そこへのサポートも含めて高いワークレートとクオリティを見せている。

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 中野は自分の武器と、置かれた立場を理解している。

「自分の強みはボールキャリーでフィジカルの強さを出すこと。12番としてパスでスペースを活かすことでもモメンタムを作れると思うので、キャリーとパスのバランスを考えて、チームにモメンタムを作っていきたい。リーグワンのCTBはどこも外国人選手がほとんどだけど、そこに日本人主体のチームで勝とうとするのは意味のあることだと思っています」

 付け加えれば、小野HCも今季が初めてのHC業という新米HCだ。サンゴリアスは、選手もHCも他で経験を積んだ実力者を連れてくるよりも、自前で育てようとしているのだ。確かにこれは長い目で見たい。

他チームは「サントリーは良い選手がくるから…」

 とはいえ、視点を変えれば違うことが見えてくる。

「サンゴリアスには良い選手がきてくれるからね」

 これは他チームの関係者の呟きだ。リーグワンは一部のチームがプロ化へ舵を切っているものの、トップリーグ時代と同様、企業スポーツの枠組みを残したまま運営しているチームがほとんど。選手も一般社員と同じ身分で企業に所属している社員選手が多数派だ。

 それゆえ勤務地、給与体系、そして現役引退後の配属を含めたセカンドキャリアなど、さまざまな要素が絡み、リクルート力はチームによって差が生じる(職場訪問した選手からは「都会で、スーツ姿でバリバリ働く先輩の姿が格好良かった」という感想もよく聞かれる)。

【次ページ】 「ドライチ」が獲れない地方チームのリアル

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