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《ラグビーリーグワン》名門サントリー「まさかの不調」のウラに潜む“日本ラグビーの問題点”「サンゴリアスは良い選手がきてくれるから…」 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2025/04/26 11:03

《ラグビーリーグワン》名門サントリー「まさかの不調」のウラに潜む“日本ラグビーの問題点”「サンゴリアスは良い選手がきてくれるから…」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

プレーオフ争いの当落線上での戦いが続く東京サントリーサンゴリアス。名門チームの苦戦で見えてきた日本ラグビーの「課題」とは?

 リーグワンはその規定を国内ルールにも適用。旧トップリーグ時代は日本国籍の取得が「外国人枠」を外れる基準だったが、リーグワンでは上記の条件を満たせば、国籍を変更せずとも日本生まれの選手と同様に扱われる。

 しかも、シーズン終了後の日本代表活動を鑑み、シーズン後に「60ヵ月」を満たす見込みの選手も「カテA」として扱う。「カテA」を目指す外国出身選手にとっては活躍のチャンスがより早く手に入ることになる。

若年層における競技人口減少への懸念も…?

 それが国産選手の活躍する機会を圧迫しているのではないか、ひいては若年層の競技人口減少を招きかねないのでは……と、その関係者は懸念するのだ。

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  実際、リーグワンの出場選手リストにおけるカタカナネームは増大している。リーグワン1部12チームのほとんどは「カテB+C」4人の他に、カテAの海外出身選手を3~5人程度起用。あわせて10人を超える海外出身選手が並ぶことも珍しくない。

  そんなリーグワンにあって、漢字ネームの「国産車」が多数を占めるのが東京サンゴリアスだ。3月2日の横浜キヤノンイーグルス戦と16日の三菱重工相模原ダイナボアーズ戦では「国産車」が11人を占めた。

 他チームで増加している「カテA外国人」がサンゴリアスには少ない。「カテC」にはオールブラックスでワールドカップ3大会に出場して104キャップを持つサム・ケイン、南アフリカ代表でワールドカップに2度優勝、40キャップを持つチェスリン・コルビのようなビッグネームが並ぶが、「カテA」で主力として活躍しているのはオーストラリア出身で加入5季目のLOハリー・ホッキングスくらい。

 上記の2試合はそのホッキングスが負傷で欠場し、先発の外国出身選手は「カテB+C」の4人だけになったのだ。そしてサンゴリアスは、外国出身選手が多く並ぶ相手に対しコンタクトの局面での激しさ、パワーで後手に回っている印象を与えてしまう。

 サンゴリアスを支持する声も根強い。それは「日本人選手を育てているんだよ」という視点だ。

 リーグワンにやってくる外国出身選手の多くはフィジカルな能力に優れるか、海外リーグで高いスキルと経験を身につけているか、またはその両方を持っている。そことどう戦うかは日本代表の命題でもある。

【次ページ】 他チームは「サントリーは良い選手がくるから…」

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