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プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
「上谷沙弥、バカだなあ…」女子プロレス“非情な敗者引退マッチ”の結末は? 涙の中野たむが語る“意外な本音”「勝ったら、私にあと3年ください」
text by

原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/04/19 17:10

4月27日、横浜アリーナで“敗者引退マッチ”に臨む中野たむ。大一番を前に心境を語った
「勝ったら、私にあと3年ください」
引退マッチの不安を振り払うように、中野は未来の話をした。
「勝ったら、私にあと3年ください。1年でスターダムは単独で東京ドームに行きます。そしてマディソン・スクエア・ガーデンにも行かないと。岩谷麻優にも勝っていないし。3年で名実ともにスターダムを世界一に導きます。世界中からスターダムを見に来る人がいて、スターダムのリングに上がりたいという人がいる。ギャラもいっぱい出て。女子プロレスブームはすぐそこまで来ていると思うので」
唐突だが「大仁田厚は好きか」と聞いてみた。中野はかつて電流爆破マッチのリングも経験し、救急車で運ばれたこともある。
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「大仁田さん、好きです。大好きです。大仁田さんみたいって最近言われます。ああ、そういうことですか(笑)。7回まで(引退しても)いいのか……。でも、私は約束を守る女ですからね。いろんな人が、いろんな結果を予想してくれていますね。面白いなあ、と思います。ここまでみなさんが大きな熱量持ってくれて、前の横浜アリーナ(2023年4月23日)がスターダムの最高入場者数だったんですが、今回は絶対にそれを超える」
4月27日、横浜アリーナに向かって、中野はスターダムのファンという枠を超えた世間の熱量を感じているという。
「この波に乗れるかが、今後の女子プロレスの大きなターニングポイント。それが私たちにかかっている。横浜の勝者がトップになる。そしてスターダムを引っ張っていく。運命の日ですね。物事が変わる時は、何かをなくさなきゃいけない時。前に進もうとする時は、問題が起きるんです。ずっとそうだった。失われるものは多くても、もっと得るものがあるはずです」
「スターダムへの愛をはっきりと意識したのは、去年の分裂騒動の時ですね。それまでも愛していましたし、大切に思っていたけれど……。私はスターダムに骨を埋める、すべて捧げようと、あの時に思いました」
中野が聞いてきた。「横浜アリーナ、どんな最後になると思います?」と。
「二人とも泣いているシーンしか思い浮かばない」と私は答えた。
「それは悲しくて?」とまた、中野は聞いてきた。
4.27は激しくて言葉にしがたい感情が渦巻く試合になるのかもしれない。
「お客さんも一緒に戦ってほしいです」
中野たむは最後まで涙が止まらなかった。
「やっぱり怖いんですね。それでも、もう一度スターダムのトップに立って、中野たむは輝き続けます」
<上谷沙弥編に続く>

